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スマイルケア食 新表示制度スタート 介護食品 食べやすさの目安に 広がる選択肢 表示混在で分かりにくさも

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(1)のみ込みが難しい人向けのニュートリーのスマイルケア食
(1)のみ込みが難しい人向けのニュートリーのスマイルケア食
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(2)キユーピーの介護食品。スマイルケア食とUDFのマークを併用している
(2)キユーピーの介護食品。スマイルケア食とUDFのマークを併用している
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売り上げが伸びている介護食品売り場=福岡市・天神のイオンショッパーズ福岡店
売り上げが伸びている介護食品売り場=福岡市・天神のイオンショッパーズ福岡店
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 かんだり、のみ込んだりすることに問題がある人向けの介護食品の新しい表示制度「スマイルケア食」がスタートし、今月から商品が店頭に並び始めている。公的な統一規格を設けることで市場拡大を目指すが、メーカーによっては従来の独自表示を使うケースもあり、利用者には分かりにくい面もありそうだ。

 農林水産省が昨年、スマイルケア食のマーク利用の運用を始めた。のみ込みに問題がある人向けの「赤」、かむことが難しい人向けの「黄」、いずれにも問題はないが、健康維持上の栄養補給を必要とする人向けの「青」と、3色のマークに分類。赤と黄は軟らかさや形状によって0~5の区分に分け、数字が小さいほど軟らかい=表参照。黄は日本農林規格(JAS)認証、赤は嚥下(えんげ)困難者などに適した特別用途食品の表示許可がそれぞれ必要になる。

 農水省によると現在、赤は9種類、黄は3種類、青は28種類の商品がマーク使用を許可されている。ニュートリー(三重県)は、主に病院や介護施設で利用されているゼリー「プロッカZn」など9商品に赤マークを表示=写真(1)=し、6月、ドラッグストアなどに出荷を始めた。担当者は「在宅で介護している人たちが買いやすくなれば」と期待する。

 ただ、これまで介護食品の公的基準はなかったため、食品メーカーなどは独自表示を使ってきた。メーカー68社が加盟する「日本介護食品協議会」(2002年設立)は、ユニバーサルデザインフード(UDF)として流通する商品1853品目に4段階の区分表示を採用してきた。スマイルケア食とは逆に数字が大きいほど軟らかい。今後、数字表示はなくしていくが、当面は混在が避けられない。

 6月以降、黄マークの雑炊など3商品を出荷するキユーピー(東京)は、スマイルケア食とUDFのマークを併用し「容易にかめる」などの文字表示を強調する=写真(2)。担当者は「各社の判断が分かれると、売り場で混乱があるかも」と心配する。

 医療・介護現場では、日本摂食・嚥下リハビリテーション学会が13年に発表した「学会分類2013」が主に利用されている。国立国際医療研究センター病院リハビリテーション科医長の藤谷順子さんは「入院中の食事と退院後に食べる商品を分かりやすく対応させられる統一基準ができたのは画期的」と評価した上で「利用する際は、表示だけで短絡的に選ばず、食べる人の状態をよく観察し、それに合った個々の商品を選ぶ目を養ってほしい」と呼び掛ける。

 介護食品の販売額は10年に862億円だったのが、20年は1335億円と見込まれる。農水省にはスマイルケア食の普及で消費者が商品を選びやすくし、供給を拡大する狙いがある。

 自宅でも作りやすい「高齢者ソフト食」を提唱する宮崎市の管理栄養士、黒田留美子さん(67)は「食べる人それぞれに合った食事を提供することが重要。基準の統一はいいが、専門職でもまだスマイルケア食を知らない人は多い。各メーカーには食べることに問題を抱えた高齢者に配慮した商品を、利用者が分かりやすく、選びやすいように作ってほしい」と話している。


=2017/06/08付 西日本新聞朝刊=

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