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便漏れ経験「5人に1人」 ストレス?若い世代や働き盛りも多く 広がる治療の選択肢 放置は禁物

便漏れを専門で扱うみぶ博多駅前クリニックの壬生隆一院長
便漏れを専門で扱うみぶ博多駅前クリニックの壬生隆一院長
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 自分の意思に反して便が漏れてしまう「便漏れ」(便失禁)。恥ずかしさから医者にかかる人が少なく、これまではあまり顧みられなかったが、ここにきて風向きが変わってきた。紙おむつ大手ユニ・チャーム(東京)は「成人の5人に1人に便漏れ経験がある」との調査結果を発表し、軽い便漏れに自分で対処できる専用パッドを初めて商品化、5月からネット販売を始めた。医療分野では3月に標準的な治療の進め方を定めた「便失禁診療ガイドライン」が出来上がり、治療法選択の幅も広がってきた。

 「子どもを連れて外出しているとき、何度もトイレに行かないといけないのがつらかった」。福岡市の女性(34)は出産時に肛門を締める括約筋を損傷し、便漏れが始まった。便意を感じてからトイレまで我慢できず、外出すると落ち着かない。2人目を妊娠して症状が悪化し、病院で治療を受けることにしたという。

 ユニ・チャームが2月、20~79歳の男女2万人を対象にネットを通じて行った調査では「最近6カ月以内に便もれを経験したか」(下着への少量の便付着を含む)との問いに「ある」と答えた人は19・6%だった。経験者を男女別にみると男性22・7%、女性が16・5%。年代では20~30代が21・3%、40~50代が19・3%、60~70代が18・4%で、男性や若年層でも多いという結果だった。

 小学生の時から便漏れに悩み、臭いが気になり学校のトイレでパンツを洗ったこともあるというのは福岡市の大学生の男性(20)。今回の調査結果を知り「こんなに多くの人が経験しているなんて驚いた」と話した。

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 便失禁に詳しい「みぶ博多駅前クリニック」(福岡市)の壬生隆一院長によると、便が漏れる病因は(1)加齢による括約筋の衰え(2)出産時の括約筋や神経損傷(3)直腸がん手術の影響-が多い。ただこうした原因に心当たりがない若い人や働き盛りの世代でも、ストレスなどで便通異常を繰り返す過敏性腸症候群(IBS)などが便漏れにつながる可能性があるという。しかも症状が比較的軽い場合は、病院を受診する人が少ないので実態把握は難しい。

 福岡市の男性も1月に初めて病院で受診し、IBSと、便を出し切れない排出障害と診断された。

 過去の疫学調査では、20~65歳の有症率は4%(国内推定患者500万人)という結果が知られていた。

 壬生院長は「ネット調査は肛門から出る粘液や痔(じ)、便の拭き残しによる下着の汚れも含まれ、疫学調査より割合が高くなっている。一方で、医療機関が把握しきれていない、軽度の便漏れが多くの人にある可能性も示しているのではないか」と分析する。

 これまで全国的に便失禁を診療できる病院、医師は少ないのが現状だったが、3月には日本大腸肛門病学会が医療者向けの手引「便失禁診療ガイドライン」を発表。作成に携わった山名哲郎医師(東京)は「今後は多くの医療機関で正しい診察と初期治療ができるようになる」と期待する。

 治療は比較的軽度の症状なら、便の硬さを調節する飲み薬、肛門周りの筋肉をうまく使えるようにする骨盤底筋体操などで、大半が改善できるという。2014年には新たに、骨盤内の神経を電気刺激する「仙骨神経刺激療法」の保険適用も始まり、高い効果が期待されている。

 「恥ずかしい」「病院に行くほどでもない」と思いがちな「便漏れ」。壬生院長は「便漏れは放っておいて治るものではない。適切な診察と治療で完治できる」と、早期の治療を促している。

 ●初の専用パッド

 ▼ユニ・チャームの便漏れ専用パッド「ライフリー さわやか 軽い便モレパッド」=写真 介護用でなく自分でケアする人向けの便漏れパッドは日本で初めてという。臭いの原因成分を吸収する構造で消臭に特化、直径13センチの小型パッドを下着の汚れが気になる部分へ装着し、汚れをカバーする。希望小売価格は10枚で498円。問い合わせ=(0120)041062


=2017/06/17付 西日本新聞朝刊=

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