就活は自分の目で見て確かめて 若手も活躍機会-中小の魅力

福岡県中小企業家同友会の合同説明会に向けて話し合う浜田浩光さん(中央)や西原琢也さん(右)
福岡県中小企業家同友会の合同説明会に向けて話し合う浜田浩光さん(中央)や西原琢也さん(右)
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 2018年春に新社会人となる大学生の採用面接が1日解禁され、就職活動がヤマ場に入った。全国の大手企業が採用を拡大し、福岡など地方の中小企業は苦戦しているという。大手にこだわらない学生も多いのに、うまくマッチングできない現状に、中小の経営者たちはもどかしさを感じている。

 ●7割が地元志向

 就職情報会社マイナビ(東京)が、来春卒業予定の大学生ら約1万5千人に行った意識調査によると、就職先は「絶対に大手企業がよい」と答えた人は12・4%。これに対し「やりがいのある仕事なら中堅・中小企業でもよい」(36・1%)、「中堅・中小企業がよい」(7・1%)と規模にこだわらない人は4割を超えた。

 マイナビの別の調査では、出身高校のある都道府県で働くことを希望する学生は福岡県出身者で69・4%に上った。九州全体でみても、7割が九州での就職を希望している。主な理由は「両親の近くで生活したい」や「実家から通えて経済的に楽だから」という。

 ●安定って何だ?

 こうした思いの一方で、学生が重視するのが「安定性」だ。マイナビの調査で企業選びのポイントに挙げられたのは、「自分のやりたい仕事ができる」に次いで「安定している」が多かった。

 「でも『安定って何?』と聞くと、口ごもる学生が少なくない」。著書「小さな会社でぼくは育つ」(インプレス)で知られる追手門学院大の神吉直人准教授(39)はこう話す。知名度があり、規模の大きい企業が何となく「安定している」と捉えられているようだ。

 学生だけではない。従業員約160人のコールセンター会社で採用を担当する西原琢也さん(48)=福岡市=は「親にも大企業志向がある。親に入社を止められて、内定を辞退した学生もいた」とため息をつく。

 確かに中小企業に比べれば、大手企業の経営基盤や福利厚生は勝ることが多いかもしれない。だが「安定している」と考えられていた「東芝」は経営危機に陥り、「電通」では過労死が問題となった。「安定とは見聞きした話の断片から構築されたイメージではないでしょうか」(神吉さん)

 ●イメージ捨てて

 中小企業で働く魅力について神吉さんは「若いうちから責任ある仕事を任され成長できる。大企業だからといって“面白い仕事”ができるとは限らない」と指摘する。

 福岡県中小企業家同友会の会員でカーフィルム会社社長、浜田浩光さん(48)=福岡市=も「一人一人が大事な戦力。いろんな仕事を経験して幅が広がる」。タイル工事会社社長、中村正昭さん(49)=同市=は「経験のある人は万一その会社が駄目になっても他社から声がかかる。個人としてはむしろ『安定している』とも言える」と話す。

 同友会は「給与など待遇面だけを見て企業を選ぶのは、どんな仕事をしたいかが見えていないから。目的意識を持ち、イメージではなく自分の目で企業を探して」と学生たちに呼び掛けている。

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 ●自分に合う中小を探したい… 経営者の熱意を見極めよう

 就職活動で自分に合った中小企業を見つけるには、どんな点に注目すればいいのか。福岡県中小企業診断士協会の槙本健次会長(71)は「経営者」を挙げる。

 中小企業やその経営者も積極的にインターネットで情報発信する時代。自分の関心のある分野が絞れていれば、企業研究は難しくない。槙本さんは「中小はトップの考えが会社に反映されやすい。社長がビジョンを語り、従業員を大切にしているか。人格や熱意にほれるような会社を探すといい」と話す。

 そのためには、説明会で話を聞いたり、企業を訪問したりして見極めることが欠かせない。コンサルタント会社の経営者でもある槙本さんは、「合同説明会に行くだけが就職活動ではない。会社に直接電話して『話を聞かせて』と言ってもいい。経営者は感激すると思いますよ」とアドバイスした。


=2017/06/20付 西日本新聞朝刊=

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