「ネット疲れ」女性の7割 通販の膨大な選択肢…便利なはずがストレスに

 欲しいものをインターネットで検索、気付けば何時間もたっていて、ぐったり-。そんな経験はありませんか? 福岡市の市場調査会社ジーコムがこのほど行ったネット調査では、ネット通販やSNS(会員制交流サイト)の急速な普及を背景に、68・1%の人が「ネット疲れを感じることがある」と回答していた。こうした「ネット疲れ」は特に女性に多い傾向があるのだという。

 福岡市城南区の団体職員の女性(41)は、スマートフォンを使い、食料品以外の生活必需品の大半をネットで注文している。

 以前は大型商業施設で「半日かけて」買いそろえていたが、仕事の休憩時間や夜の空いた時間を使えるからと切り替えた。購入金額に応じてポイントがたまるのも魅力だった。

 でも最近はイライラが募ることが多い。例えば子ども服では、サイズや種類を指定して検索しても、膨大な数が候補に上がる。同じ商品でも値段に差があるから「少しでもお得に」と検索を続けているうちに、実は欲しいサイズや色が完売していたり、送料が別料金だったり、確認することが増えていく。購入者の口コミにまで目を通していたら、いつの間にか深夜で、すっかり寝不足になっていた。「楽をしようとネットショッピングを始めたのに『私、何やってるんだろう』って」

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 ジーコムが2017年夏、福岡県内の成人男女733人を対象にしたネット調査では「ネット疲れ、SNS疲れ、デジタル疲れを感じることがありますか」との問いに「よくある」「たまにある」と答えた人は計68・1%に上った。性別では男性(61・9%)より女性(73・3%)が多く、女性の年代別では40代が実に81%に達し、30代(75%)、50代(74・7%)が続いた。

 疲れを感じる層の83・2%は「思ったよりも長時間ネットを利用していることが多い」と答えた。自由回答では「情報が多すぎて、どれを選んでいいか分からない」「信ぴょう性を判断するのが難しい」といった意見が多かったという。

 担当者は「最大の要因は、ネット通販などでの情報の多さに、人間の処理能力が追い付いていないこと。例えば、実際の店舗では品ぞろえにスペース上の限界があったが、ネットでは選択肢が無数。それが『便利さの中の不便』を生んでいる」と分析する。40代女性が特に疲れを感じているのは、子どもに関する連絡でSNSの利用が増えた影響もあるとみている。

 実際、女性のネット通販の利用率は近年、急速に伸びているというデータもある。同社が、ネット通販を利用したことがある福岡県内の男女402人(20~69歳)に尋ねた2017年調査(16年12月実施)では、年間の利用回数は男性27・8回に対し女性29・5回。15年の同種調査の男性23・7回、女性18・5回から女性が急伸し、男女が逆転する現象が起きていた。

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 デジタルハリウッド大(東京)の匠(たくみ)英一教授(認知心理学)は「女性はもともと、デパートでの滞在時間が男性の4、5倍といわれるほど、買い物に時間をかける傾向がある。ましてネット通販のように選択肢が多いと『損したくない』『後悔したくない』という感情が一層強く働き、判断力が鈍ってしまいがち」と指摘する。

 品ぞろえが6種類と24種類のジャムの試食コーナーで、試食した客が商品を購入した割合は、6種類の場合が30%、24種類が3%-。匠教授は、よく知られている米国の実験結果を例に挙げ「『売れ筋ランキング10位以内で検討する』などと自分でルール化して選択肢を10個以内に絞ると、判断しやすくなり、ネット利用の長時間化を防げる」とアドバイスする。「口コミもネットでは意見が極端になりやすいので、うのみにしないよう注意してほしい」と話している。

=2018/02/24付 西日本新聞朝刊=

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