どんな社会に 3月8日は国際女性デー

成瀬 穫美さん(48) ワーキング・ウィメンズ・ヴォイスの運営委員
成瀬 穫美さん(48) ワーキング・ウィメンズ・ヴォイスの運営委員
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宮本なつきさん(47) NPO法人女性エンパワーメントセンター福岡・移住女性支援担当
宮本なつきさん(47) NPO法人女性エンパワーメントセンター福岡・移住女性支援担当
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 3月8日は、女性の地位向上や社会参加を目指す国連の「国際女性デー」。米国で女性たちが参政権などを求めてデモを行った日を起源とし、各国でさまざまなイベントが行われる。性別にかかわらず自分らしく生きられる社会のために、何が必要なのか。福岡市で活動する2人に聞いた。

 ●あなたが選んだ働き方や生き方ですか

 ▼成瀬 穫美さん(48) ワーキング・ウィメンズ・ヴォイスの運営委員

 国際女性デーの8日、啓発の意味を込めて、福岡市中心部を行進する行事の実行委員をしています。セクハラを告発する「#MeToo」(「私も」の意味)運動が広がりましたが、多くの女性は声を上げられない現状があるのです。

 昨年、性被害を訴え記者会見をした女性ジャーナリストは「シャツのボタンを上まで閉めていない」と服装を批判されました。「被害者側も悪いのでは…」という空気が社会にあることを示しています。

 働く女性を支援する団体「ワーキング・ウィメンズ・ヴォイス」(福岡市)の運営委員を務めています。非正規雇用で弱い立場に置かれた女性などからさまざまな悩みが寄せられます。

 私もいくつかの職場を経験する中で、育児休業明けに正社員からパートに変わるように告げられたことがあります。別の職場では「女性だけにお茶くみ当番があるのはおかしい」と声を上げたものの、男性を加えることに反対したのは、女性の先輩でした。「これは私たちの仕事です」と。女性が性別役割分業に縛られていることもあるのです。

 現在、福岡市の非正規職員として働き、労働組合で執行委員長をしていますが、働くことへの考え方は人それぞれです。「責任のある仕事をし、正当に評価されたい」「非正規だから業務の量や責任を少なくしてほしい」-。当然どちらの考え方でもいいのです。

 ただ、後者は知らず知らずのうちに「女性は家事、育児をすべきだ」というしがらみにとらわれている場合があるかもしれません。家庭での負担が大きく、そういう選択しかできない可能性もあります。一度、立ち止まって自分の働き方、生き方が本心からの選択なのか考えてみませんか。そして、さまざまな選択を受け止められる職場、社会であってほしいです。

 ●「女性」「外国人」二重の差別がストレス

 ▼宮本なつきさん(47) NPO法人女性エンパワーメントセンター福岡・移住女性支援担当

 福岡市を拠点に、日本に移住した外国人女性の相談に応じています。通訳や同行サポートのほか、日本語教室も開設しています。

 相談で目立つのは、日本人と結婚しているアジア出身の女性の悩みです。彼女たちは「日本人の配偶者」という在留資格なので、婚姻関係がないと居場所がない弱い立場です。発展途上国出身のため、夫から「妻にしてやっている」という“格下扱い”を受け、がんじがらめの日々を送る人もいます。ドメスティックバイオレンス(DV)の相談も多いです。根底には「家事と育児は女性の仕事」「妻は夫に従順でなければならない」といった女性への差別意識があります。女性と外国人、という二重の差別意識がストレスになっているのです。

 年間30人ほどの通訳、同行支援をしていますが、社会からの孤立も深刻だと感じます。行政サービスは多言語対応が十分ではないので、夫の協力がなければ情報入手すら難しい。さらに、彼女たちは地域になじもうと無理に明るく振る舞ったり、日本語で説明できず「大丈夫」とごまかしたりするため、周囲がSOSを発見しにくいのです。そのせいか、近年は精神疾患の相談も増えました。

 行政の多言語対応などの支援拡充も必要ですが、まずは、ストレスの根源ともいえる、女性への差別意識をなくしていくことが重要です。昨年、セクハラや性被害を告白する「#MeToo」キャンペーンが世界中に広まりました。米ハリウッドの俳優が声を上げるなど、女性の人権を考えるいい機会だったのですが、日本では声を上げた女性に非難が寄せられるなど、大きなムーブメントにすることができませんでした。これからは日本にも「フェミニズムって格好いい」と思わせるような、けん引役が必要です。

=2018/03/06付 西日本新聞朝刊=

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