日本に必要なのは 仕事と家庭のバランス 男女平等の国ノルウェー ソルベルグ首相 東京で学生と意見交換

お茶の水女子大で、学生からの質問に答えるノルウェーのソルベルグ首相
お茶の水女子大で、学生からの質問に答えるノルウェーのソルベルグ首相
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 ●社会参加促すクオータ制 女性は「未活用の資源」だ

 スイスの国際機関「世界経済フォーラム」が発表した2017年版「男女格差報告」で、日本の男女の平等さは144カ国中114位。一方、今回2位で世界最高水準の「男女平等の国」として知られるノルウェーは、この年の国連の世界幸福度ランキングでも1位に輝いた。2月に来日したエルナ・ソルベルグ首相(57)が東京都のお茶の水女子大で講演し、その背景や現状について学生と意見を交わした。

 ノルウェーでは、1979年に男女平等法が施行され、2年後に初の女性首相が誕生。ソルベルグさんは2013年に女性として2人目の首相に就任した。

 国会議員は4割超が女性で、外相など主要閣僚を含む大臣の半数、連立与党3党の党首も全員女性と、政治参加が進む。

 学生から理由を問われたソルベルグ首相は「(拘束名簿式)比例代表制の影響力が大きい」と答えた。この制度では、政党の得票に比例して議席数が配分される。各政党は誰を当選させたいか、順位を付けて候補者名簿を作る。名簿はいわば党の顔。「1970年代に女性運動が活発化すると、政党も女性の声に耳を傾けるようになりました」。候補者の一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」を導入する政党も増え、男女格差は解消されていった。

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 経済の分野でも男女の差は少ない。働いていたり、職を探していたりする女性の割合(労働力率)は76・2%で、男性80・3%とほとんど変わらない(男女格差報告、日本は男性85・0%、女性66・4%)。

 政府は2004年、上場企業の取締役の少なくとも40%を女性とするクオータ制を導入、08年に達成した。

 首相は「女性の労働参加は、北海油田が産出する石油よりも国内総生産(GDP)に貢献しているという研究もある。女性はいわば未活用の資源。日本も新しい成長モデルを模索すべきだ」と強調する。

 こうした働き方を可能にしているのは充実した育児支援制度。育児休業は夫妻で計49週か59週取れ、49週なら休業前の給料の100%が保障される。うち10週を父親に割り当てる「パパ・クオータ制」も採用。この10週は父親が利用しないと権利が消滅するので取得率は極めて高い。保育園は1~5歳の9割以上が利用している。「育児支援が弱い国では、保育サービスを買える裕福な女性でないと仕事もできないし、政治にも参加できないのです」

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 日本が学ぶべき、最も重要な教訓は何だろう。

 ソルベルグ首相は「仕事と家庭生活のバランスを図ること」と答えた。午後4時には仕事を終えて家族で夕食をともにする-。ノルウェーではそうした働き方が一般的という。「企業の側も、若い有能な人材を雇うなら、子育てに関連するコストが発生するのは当然だと理解しているし、それは企業にとっては投資だと位置づけている」と説明した。

 会場からは、女性の社会進出によって仕事を奪われることを懸念する男性もいる、との声が上がった。

 首相は「うまくバランスを取り、両性の利益を求めていかなければならない」とする一方「技術の進歩で伝統的に男性が担ってきた仕事は脅かされつつある。男性も自身のスキルを変えなければ労働市場で居場所を失う」とくぎを刺した。

 日本の夫婦同姓の規定についてどう思うか、という質問も出た。「個人的な意見としては、愛しているからといって結婚で姓を変えることは難しい」と首相。ノルウェーでは夫婦別姓を選ぶことができる。ただ自身の世代は別姓が多かったが、若い世代には女性が姓を変える割合が増えているという。「かつて姓の選択は男女平等の証しだったが、私の娘はその感覚を理解しない。女性が、性別のしがらみから解放されているのだろう」と分析した。

=2018/03/10付 西日本新聞朝刊=

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