老人ホームが買い物支援 民間事業者と地域 課題を共有

買いたい物を書いてきたメモ紙を地域のボランティア(左)に見せる参加者=4月、福岡県志免町
買いたい物を書いてきたメモ紙を地域のボランティア(左)に見せる参加者=4月、福岡県志免町
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 交通手段が乏しく高齢者の買い物が困難になっている問題で、買い物支援を手掛ける民間事業者のうち、福祉施設など非営利団体の参入が広がりを見せている。企業による宅配や買い物代行サービスなどだけでなく、外出を促し介護予防に結び付けるなど、地域に合った取り組みが期待されている。

 福岡市博多区の下月隈団地で4月、自治会と福祉施設が連携した買い物支援が始まった。地元の特別養護老人ホーム(特養)のマイクロバスに乗り、集合場所から1キロほど離れたスーパーまで送迎する。

 初回の参加者は18人で、平均年齢は80歳以上。諸藤美由紀さん(82)は「お米やトイレットペーパーみたいな大きい物を買うのに助かる」と話し、桑原ツヤ子さん(91)は「久しぶりに顔を合わせる人もいてうれしい」と交流を楽しんだ。 同団地は高低差20メートルの丘陵地に位置する住宅地で、高齢化率は約40%。最寄りのスーパーは、急な坂道を下ったバス通り沿いにしかなく、買い物支援が課題になっていた。福祉施設のワゴン車で買い物支援をする同市早良校区社会福祉協議会(社協)の取り組み(14日付くらし面掲載)を、同市博多区社協が自治会に提案。自治会が地区内の施設に相談し、二つの特養が応じた。

 参加者の募集や日時の決定などの運営は自治会が行い、運転手の人件費や燃料費は施設側が負担。2施設が月2回を交代で行う。自治会長の松下征雄さん(78)は「福祉施設が快く協力してくれてありがたい。宅配サービスを利用するのもいいが、外出して人と話をするのは老化予防にもなる」と話す。

 農林水産省が2017年度に行った調査によると、買い物支援策が必要な市町村のうち、民間事業者が参入しているのは65・4%で3年連続増。うち、多いのは株式会社や生協などだが、社会福祉法人やNPO法人など非営利団体も15・7%に上り、増加傾向にある。

 背景には、社会福祉法人制度改革をうたった16年の社会福祉法改正で、社会福祉法人が地域に対し公益的な取り組みを行う責務が盛り込まれたことがある。施設側も自らの専門機能を地域にどう生かすか、模索しているようだ。下月隈団地で買い物支援を行う施設の中村孝也施設長は「顔なじみになって将来施設を利用する人が増えるといいし、皆さんと接することでさらにさまざまな困り事が分かれば、できる範囲で協力していきたい」と話す。

=2018/06/19付 西日本新聞朝刊=

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