同性婚を最高裁が認めた米国 世論の変化は当事者の一歩から ブライアン・モールトン弁護士に聞く

「当事者が行動を起こすことが変化への第一歩」と語るブライアン・モールトンさん
「当事者が行動を起こすことが変化への第一歩」と語るブライアン・モールトンさん
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 ■新訳男女 語り合おう■  ●「多様な性」 権利拡大 
 米国では、同性婚の権利を認める最高裁判決が出るなど、LGBT(同性愛や両性愛、トランスジェンダーなど多様な性の人たちの総称)の権利拡大の動きが広がっている。在福岡米国領事館の主催で、11日に福岡市で講演した全米最大の支援団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン(HRC)」の弁護士ブライアン・モールトンさんに、最新事情と歩みを聞いた。

 ‐連邦最高裁は6月、婚姻を男女の関係に限定した「結婚防衛法」を違憲とする判決を出しました。この意味と社会への影響は。

 「婚姻に関する法律は州ごとに違い、同性婚は首都ワシントンと13州で導入されています。これまでは州法の下で結婚しても、結婚防衛法のため国に婚姻関係と認められず、配偶者としてのビザ発給や税金の控除など社会保障上の優遇措置が受けられませんでした」

 「判決を受け、同性婚も異性間の婚姻と同じ扱いとなります。米軍では、男女の夫婦と同じように住宅手当が支給され、健康保険の対象になるなどの措置が始まりました。さまざまな機関が判決を具体的な形に移そうと動いています」

 ‐法律や政治が変化してきた背景は。

 「世論調査を見ると、同性婚を支持する人は1990年代半ばで30%程度だったのが、現在は50%まで伸びています。転機は、マサチューセッツ州で初めて同性婚が認められた2004年。知らないまま怖がり、隠そうとしていたものが現実の姿となって見えてきたことで、加速度的に支持が増えたのだと思います」

 「何より当事者が姿を現し、声を上げたことが大きい。バスケットボールのジェイソン・コリンズ選手、歌手のリッキー・マーティンさん、オーストラリア大使のジョン・ベリーさんら、LGBTの人たちが各界で活躍しています」

 ‐オバマ大統領も昨年、現職大統領として初めて同性婚支持を表明しました。

 「2期目の就任演説でも言及し、兵士が同性愛を公表して軍務に就くことを禁じた規制を撤廃に導くなど、さまざまな政策を取り入れました。国のトップが支持を表明したことは非常に影響力が大きいのです」

 ‐HRCの活動は?

 「LGBTに関する政策を立法という形で変えていくため、連邦、州、自治体の各レベルでロビー活動を行っています。ただ、変化には時間がかかるので、LGBTの人々の平等を、さまざまな手段を通じて企業や宗教団体、学校、病院などに訴えています」

 「例えば、最高裁の判決前、同性婚を支持する人はインターネットの交流サイト『フェイスブック』のプロフィル写真をHRCの赤いロゴに変更しようと呼び掛けたところ、多くの著名人も賛同して反響を呼びました。そのほか、LGBTに対する企業の取り組みを格付けしたリストを公表したりしています」

 ‐これからの課題は。

 「50州のうち、35州では同性婚を禁じているのが現状。国レベルで雇用、居住、教育などでの差別を禁じる法もなく、やるべきことはたくさんあります」

 ‐日本ではLGBTの権利意識が遅れています。

 「米国では、まず当事者の存在が目に見えるようになり、どんな問題を抱えているのか知られるようになったことで状況が変わりました。当事者は勇気を持って、自分の抱える問題を家族や友人、周りに話してほしい。簡単なことではありませんが、ぜひ一歩、踏み出してみてください」

 ▼ヒューマン・ライツ・キャンペーン 1980年に発足した米国最大のLGBT支援団体。全米に200万人の会員、支援者がいる。ブライアン・モールトンさんは法務部長として、雇用や保険、婚姻などLGBTに関連する連邦政策を取り扱う弁護士チームを率い、訴訟も支援している。


=2013/09/28付 西日本新聞朝刊=

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