後を絶たない殺傷事件…「助けて」「110番して」叫ぶ時は具体的に 警察に聞く緊急時の対処法

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 不特定多数の人に凶器が向けられる殺傷事件がなくならない。考えたくはないけれど、そんな場面に遭遇してしまったら、自分の身を守るためにどんな行動を取ったらいいのか。

 慌てず逃げる 日頃のイメトレが有効

 「慌てずにその場から極力離れて、安全な場所や建物に逃げ込むことを心掛けて」と話すのは福岡県警本部生活安全総務課の課長補佐大庭直樹さん(43)。ただ、いざというときに慌てずに行動するのはなかなか難しい。

 大庭さんは「日頃のイメージトレーニングが有効」と説明する。例えば、過去にあった事件を自分の身に置き換えて、どう行動するか想像してみる。「この道で襲われたら、角のコンビニに逃げ込もう」といった具合に、普段の行動範囲内で避難場所をいくつか決めておくといいそうだ。

 助けを求める 具体的な内容を大声で

 大声で叫んで周囲に危険を知らせることも基本。「ワー」や「キャー」と叫んでもいいが、「助けて」「110番して」と具体的な内容を声にできたらより効果的という。耳にした人が救助につながる行動を起こしやすいからだ。

 「手首をつかまれたときの逃れ方」=イラスト=など、基本的な護身術も身に付けたい。大声を出すことと合わせて日頃から練習しておくと、とっさのときでも体が動きやすい。

 護身グッズ 手荷物や折り畳み傘…日用品も役立つ

 日用品の活用を提案するのは「いざというときの自己防衛マニュアル」(コスミック出版)の共同監修を務めた軍事ジャーナリストの柘植久慶さん(76)。手荷物などを相手との間にかざすことで、一定の距離を保ち、致命傷となる頭や上半身を守りながら、助けが来るまで時間を稼ぐことができる。傘は相手と距離を取るだけでなく、攻撃にも使える。折り畳みを常に持ち歩いておくといい。

 柘植さんによると、厚手のバッグの中に雑誌やクリアファイルを複数入れておくと、刃物が貫通しにくくなるという。普段から両手が空くリュックやショルダーバッグを使い、遠くまで逃げられるように走りやすい靴を履くことも大事だ。柘植さんは「時間を稼いで、逃げるチャンスを増やすことがとにかく大切」と強調する。

 護身用品も人気を集めている。専門店「KSP」(福岡県福津市)では最近、催涙スプレーの購入が5倍に伸びた。お薦めは飛距離があり空気中に充満しにくい液状タイプで、浴びると約1時間効果が続くという。ペンや口紅のような見た目で、女性が持ちやすいデザインのものもある。

 店長で日本護身用品協会の理事も務める白石浩一さん(47)は「周囲の人が危険を冒して助けに来るとは限らないので、身を守れるのは護身用品だけでは」とした上で、「催涙スプレーを正当な理由なく携帯すると軽犯罪法違反に問われることも知っておいて」と付け加える。

 公共交通機関 新幹線では「座面」を盾代わりに

 新幹線や高速バスのような車内で遭遇する可能性もある。東海道新幹線で6月に発生した殺傷事件では、お尻の下にある「座面」を盾のように使っていたことが話題になった。

 JR東海によると、座面は汚れて交換することもあるので、工具を使わなくても引き上げると外れるそうだ。以前から乗務員には、不審者に対応する際、座面やかばんで距離を取って防御するよう指導していた。

 JR西日本とJR九州は、こうした場面で座面を外す想定や訓練は特にしておらず、「今後検討する」(JR西日本担当者)という。九州各地や東京などへの高速バスを運行する西日本鉄道によると、座面は安全上、簡単に取り外せない構造になっているそうだ。

 乗客は携帯電話で通報した方がいいのか。西鉄の担当者は「犯人を刺激する可能性があるので控えてほしい」。2000年に起こった西鉄バスジャック事件以降、乗務員が緊急連絡装置を作動させると、車体の防犯灯が点滅し、後部の方向幕に「SOS」と表示される仕組みを導入。車外にいる人がこの表示を見掛けたら、速やかに通報しよう。

=2018/07/17付 西日本新聞朝刊=

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