ママチャリで日本一周 左手に障害抱える26歳、1年4カ月の旅で得たもの

相棒のママチャリと記念撮影する下司啓太さん(本人提供)
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 福岡市出身の下司(しもつか)啓太さん(26)=大阪府茨木市=がこのほど、自転車で日本一周した体験記「青春をママチャリに乗せて-ハンディキャップの自転車日本一周記」(書肆侃侃房(しょしかんかんぼう))を出版した=写真。生まれつき左手の指が親指のみの下司さんは、ブレーキの使いやすさからスポーツタイプの自転車ではなく、買い物などに使う、いわゆるママチャリを相棒に選んだ。約1年4カ月かけた旅で得たものは出会いだったという。

 きっかけは大学4年のとき。日本縦断をする車いすの人をテレビ番組で見て「俺もできるんじゃないか」と自転車での日本一周を決意。就職活動をやめて準備を始めた。

 2015年5月、当時住んでいた福岡市を出発。北海道から沖縄まで渡り、翌年9月に同市に戻り、日本一周を果たした。著書には、旅の途中で出会った個性的で温かい現地の人々や、同じ障害の子どもたちとの触れ合いなどが丁寧に書かれている。

 旅先では自転車で旅をしている人たちにも出会う。しかしほとんどがスポーツタイプのクロスバイクやロードバイク。その中で異色のママチャリだった下司さんは、「相棒」に自分を重ねてこう記している。

 -上り坂や向かい風に直面する度に「せめてクロスバイクだったら」とよく思いがよぎることがあった。まるで昔自分が「せめて左手が不自由でなければ」と考えていたように-

 しかし、旅を振り返ってこう語る。「ママチャリのスピードでなければ、この手でなければ、出会えなかった人もたくさんいる。自分の障害も不自由にしか見えないけど、使いこなしてみると注目されやすいし認められる」

 それまで「みんなと違う」ことから劣等感を抱いていたが、旅で幾度もピンチを乗り越えたり助けられたりした経験から「コンプレックスはマイナス要素ではない」と思うようになったという。

 現在、旅の中で相性がいいと感じた大阪府に住んでいる。次は海外を自転車で旅したいと準備中だ。「この本を読んだ人の、何かにチャレンジするきっかけになれたらうれしい。『おまえが日本一周したって言うから、俺はママチャリで世界一周してきたぞ、どうだ!』なんてメールが来たら最高ですね」

 四六判280ページ、1620円。書肆侃侃房=092(735)2802。

=2018/07/26付 西日本新聞朝刊=

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