シニアが輝く チアダンスチーム 福岡の「グランチア」 総勢40人「見ている人も やっている自分も 笑顔になれる」

「はい、足をそろえて!」。笑顔でステップを踏むグランチアのメンバーたち
「はい、足をそろえて!」。笑顔でステップを踏むグランチアのメンバーたち
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 体育館に次々に入る女性たち。誰ともなくステップを踏み始めた。かがんだり足を振り上げたり。「1、2、3…あ痛たた」。足腰がちょっとつらそうに見えるときもあるけれど、笑顔は崩さない。

 おそろいの黄色いTシャツが決まっている。福岡市や糸島市(福岡県)を拠点に練習するチアダンスチーム「グランチア」。運動教室を展開する「MIKIファニット」(太刀山美樹代表)の60~70代を中心にしたメンバーで今年2月、本格的に始動した。

 グランチアは「グランド世代」(年長者)とチアダンスを掛けた言葉。敬老の日を前に、10月に横浜市で開かれるシニア向けの大会に出場する4人のメンバーが汗を流す特別練習におじゃました。

 「ちょっとそれじゃ炭坑節みたいよ。聖子ちゃんみたいにぶりっこしないと」。そんな助言に全員の動きが一気に艶っぽくなる。「お金持ちが銀座を歩くように優雅にステップを踏んで」。的確なイメージを共有することが何より大事らしい。

 この日は何度か休憩を挟みながら2時間、踊り続けた。福岡県久留米市から通う坂本幸代さん(80)に話を聞いた。疲れますよね? 「そりゃきついよ。でも家にいるより外でピョンコピョンコしていたいの」。チアの魅力は? 「見ている人もやっている自分も笑顔になれるところかな。電車に乗るときは窓に顔を映して、表情筋を鍛えながら笑顔の練習をしてます。口角を上げるのってなかなか難しいんよ」

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 グランチアは総勢約40人。もともとあったシニアクラスでチアをやったら盛り上がったのが結成のきっかけだ。地域行事などにも引っ張りだこで、9月は3回も舞台に立つ。太刀山さんによると、関東を中心に同様のチームもあるが、九州では珍しいという。

 メンバーは全員、無料通信アプリLINE(ライン)を使いこなし、今では主要な連絡ツールとなった。高校生顔負けのカラフルな絵文字が飛び交う。振り付けの動画もLINEで共有し、自宅での復習に生かしている。

 始めたきっかけはさまざまだ。高井静子さん(66)=福岡県糸島市=は「夫の母の介護があって、あまり外出できずに気分が沈みがちで。見かねた友人が誘ってくれました」。すっぴんで1日過ごすことも多かったが、メークをして練習に行くと気分が華やぐという。

 「自分の葬式にいるのが家族だけだったら悲しいから」。友達づくりも背景にあると明かしてくれたのは森重由美子さん(64)=福岡市中央区。子育てしていた頃の友人は転勤族が多く、ばらばらになってしまった。「出棺の場面はチアダンスで見送ってね」とメンバーに話している。「お母さんの人生ってけっこう楽しかったんやねって家族に思われたら最高だな」

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 チアダンスは見ている人を、そして何より自分自身の心も体も元気にするようだ。練習熱心と評判の野口純子さん(71)=同市早良区=は「覚えるのは大変だけど、若い人には負けられない」と前向き。代表の太刀山さんは「体を動かす機会が減りがちな世代だからこそ、チアを老化防止、健康づくりにつなげていきたい」と意気込む。

 「グランチア/心ウキウキ/青春よ」。「ピョンコ-」の坂本さんが披露してくれた句だ。本番を見た息子さんに「切れがないって言われたの」とこぼす。次は見返しましょうねと声を掛けると、取材の中で何度も聞いた力強いこの言葉が返ってきた。

 「まだ80(歳)。これからよ」

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 14日午後3時~4時半、イオンモール福岡伊都(福岡市西区)で「グランチア学園祭」を開く。メンバーがモデルとなるヘアアレンジやメークのショーの後、チアダンスを披露する。フラダンスや子どものチアダンスもある。問い合わせはMIKIファニット=092(407)2530。

=2018/09/14付 西日本新聞朝刊=

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