災害に備える<上>不安な時こそ温かい食事 備蓄は食べ慣れたもの、食べたいもの

ポリ袋を使った調理方法を紹介する鈴木佳世子さん=9月24日、横浜市のパナソニックリビングショウルーム横浜
ポリ袋を使った調理方法を紹介する鈴木佳世子さん=9月24日、横浜市のパナソニックリビングショウルーム横浜
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サバ缶とトマトのカレー
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だし巻き卵
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黒豆と抹茶の蒸しケーキ
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 台風や豪雨、地震などの自然災害が各地で相次いでいる。災害はいつ、どこで起きるか分からない。家庭でどう備えたらいいのか、2回に分けて紹介する。

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 大規模災害時には、電気、ガス、水道のライフラインが断たれる恐れがある。公的な支援物資が届くまでの間は、自宅にある食品での生活を余儀なくされる。災害時の食事について、9月に横浜市であった防災セミナーで講師を務めた防災クッキングアドバイザーの鈴木佳世子さん(57)=同市=に話を聞いた。

 1995年の阪神大震災で被災した鈴木さんは「最も困ったのが生活必需品の確保だった」と言う。道路の寸断で流通がストップしたため、コンビニやスーパーは閉店、宅配便も届かなかった。「最低でも3日分、できれば1週間分の備えを。カセットこんろは欠かせない」と呼び掛ける。

 水、アルファ米、缶詰、レトルト食品などの長期保存品は「すぐに食べられるもので、好物を選ぶ」のがポイント。被災時は食欲が落ちる。食べ慣れたもの、平常時でも食べたいものを用意しておく。米やパン、乾物、調味料などの常備品はいつもの食材を少し多めに買う。おやつも必ずストックをしておきたい。

 備蓄品はしまい込むと、いざというとき古くなっている場合も。収納場所を決めて普段から食事に使い、食べたら買い足す「ローリングストック法」がお勧めだ。「普段していることを災害の視点で少し幅を広げるだけで、最強の『災害食』になります」

 熊本地震では、スーツケースに乾物や調味料を詰め込み、益城町の避難所へ向かった。断水で洗い物ができない状況で食事作りに活躍したのがポリ袋だ。避難所の女性たちと一緒に、ポリ袋に材料を入れて湯煎する方法でごはんを炊き、野菜スープを作った。「洗い物が出ない上、衛生的でごみも少ない。袋はそのまま器にもなる」

 ポリ袋は、半透明のポリエチレン製で厚みのあるものを用意。湯煎対応と書かれた商品も市販されている。スーパーの荷物台にあるものは薄いため3、4枚重ねて。鍋は直径30センチくらいのものを準備し、鍋底に袋が触れて破れるのを防ぐため、お皿を敷いて水を入れ、沸騰させる。

 まずはご飯を炊く方法。米はとがなくてもいいが、気になる場合は米と水をポリ袋に入れてよく振り、水を捨てる作業を2回すれば十分。米1合に水200ミリリットルを入れて30分浸水させ、軽く袋の空気を抜いて上の方で結ぶ。沸騰した鍋に入れて20分湯煎したら、火を止めて鍋に入れたまま10分蒸らすと完成だ。

 魚の缶詰は生臭くて苦手という人も、カレーにすれば食べやすい。レシピではサバ缶を使っているが、ツナ缶やサケ缶でもOK。だし巻き卵は、砂糖やみりんを入れて甘くしても。蒸しケーキは、チョコチップや、缶詰のフルーツを入れてもおいしい。砂糖なしで、コーンやウインナー入りにするのもお勧めだ。

 一つの鍋で同時に調理できるため、好みに合わせて味を変えられ、アレルギーにも対応しやすい。「不安が募る災害時こそ、温かい普段の食事が生きる力になる。災害が起きる前に一度作って、わが家の味を模索してみて」

 ●サバ缶とトマトのカレー

 ■材料(2人分)

サバ缶1缶、トマトペースト(またはケチャップ)大さじ1、玉ネギスライス1/4個分、おろししょうがとにんにく(チューブ)少々、カレールー1かけ、水80ミリリットル

 ■作り方

材料を入れたポリ袋の口を結び、20分湯煎する。取り出したら袋を軽くもみ具を混ぜる。

 ●だし巻き卵

 ■材料(2人分)

卵2個、だししょうゆ(麺つゆ)小さじ1/2

 ■作り方

材料をポリ袋に入れて口を結んでもみ、沸騰した湯に入れて15分湯煎する。取り出したら袋のままふきんで包んで形を整える。

 ●黒豆と抹茶の蒸しケーキ

 ■材料(2人分)

A ホットケーキミックス50グラム、砂糖小さじ1、抹茶小さじ1、

B マヨネーズ大さじ1、牛乳(または水)大さじ3

黒豆15グラム

 ■作り方

ポリ袋にBを入れて混ぜ、Aも入れてよく混ぜる。最後に黒豆を入れて軽く混ぜたら、袋を結び、沸騰した湯で30分湯煎する。

=2018/10/02付 西日本新聞朝刊=

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