災害に備える<下>停電対策 普段の心掛け スマホの情報収集 周囲と協力して

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北海道を襲った地震を教訓に、停電に備える大切さを語る杉本めぐみ九州大助教
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 ●食・トイレ・保温… 杉本めぐみ九州大助教に聞く

 北海道を襲った地震では国内初の全域停電(ブラックアウト)が起きた。9月6日未明の発生直後から暗闇の中を避難したり、ポンプが作動せず水が使えなかったりと、8日夜に9割超の世帯で復旧するまで市民生活は大きく混乱した。停電への備えについて、現地調査した杉本めぐみ九州大助教(災害リスクマネジメント)に聞いた。

 -現地の停電の影響は。

 「9月11~14日、札幌市をはじめ、土砂崩れや家屋倒壊が相次いだ厚真町、安平町、むかわ町を訪れた。停電時はテレビが使えず、スマートフォンもバッテリー切れで情報を得られない人がいた。電池が売り切れ、車のバッテリーを電源にする人もいたという」

 「マンションではエレベーターが停止し、電気でポンプを動かす所は断水したと聞いた。高齢者は水の入った容器を部屋まで階段で運ぶ必要があり、大変だった。家は無事でも停電で生活できず、やむなく避難所に移った人もいた。都市ガスも安全装置が作動したり、ガス漏れで使えなかったりしたようだ」

 -何を用意すべきか。

 「家が壊れず、停電した中でしばらく過ごすことを考えると、食とトイレ、体の保温、情報収集の4点を重視したい」

 「食で重要なのはカセットこんろ。温かい食事や暖を取れる。ガスボンベは1本(250グラム)で1時間ほど調理できるので多めに用意しておく。トイレは停電による断水や逆流で流せない場合がある。凝固剤で排せつ物を固める市販の簡易トイレがあるといい」

 「冬の災害では防寒具が大切。スキーウエアなど厚手の服があれば着用し、軍手や靴下、カイロも準備しておく。情報収集ではスマホ以外に車のラジオも有効。ガソリンは十分入れ、バッテリーも点検しておく。電池式か、ハンドルを手で回して充電する携帯ラジオも市販されている」

 -スマホを情報源にする人が多い。

 「テレビは停電すると使えない。スマホは低電力モードに切り替えてバッテリーを長持ちさせたい。家族や友人と一緒に避難した場合、個々人が同時にスマホを使うのでなく、1人が自分のものを操作して周囲に情報を伝える。バッテリーが切れたら別の人が自分のスマホを使う要領だ」

 「被災地の家族が電話をかけ合って安否を確認するとつながりにくく、バッテリーも消耗する。遠方の親戚などを『伝言役』に決めておき、その人に無事かどうかを伝えておくといい」

 -電源用に何が必要か。

 「乾電池はいろいろな種類を多く準備しておく。スマホなら乾電池式の充電器がある。懐中電灯用の単1がない時に備え、単3を入れると単1として使えるアダプターを持っておくといい。発光ダイオード(LED)の懐中電灯なら長持ちする。水を入れるだけで発電する紙製の電池など、新しい非常用品も開発されている」

 -停電後の行動は。

 「家の耐震性が十分か、そうでないかで対応が変わる。避難所は特に高齢者には体の負担が大きく、家が頑丈なら外に出ず備蓄物資で過ごす方がいい。缶詰や切り干し大根、干しいも、ドライフルーツなどの乾物は夏場も傷まない。水を入れれば食べられるアルファ米も便利だ」

 「家が壊れた場合は、非常用持ち出し袋と貴重品を持ち、戸締まりをして避難する。その際、電気のブレーカーを落とし、ガスの元栓を閉めることを忘れずに。立て付けがゆがんで帰宅時に中に入れない恐れがあるため、室内のドアは開けたままにする。暗闇で交通事故に遭わないように蛍光塗料の付いたものを身に着け、懐中電灯で周囲を照らし、ガラスやブロック塀などから離れて移動する」

 -普段から心掛けておくことは。

 「私は断水に備え、水道水を入れたペットボトル(2リットル)を家族1人につき6本常備している。2~3本ずつ洗濯に使い、また水道水を入れて古くならないようにしている。ランタンや木炭などのキャンプ道具も便利。使い方に慣れておくと、災害時も『キャンプと同じ』と心の余裕が生まれる。家にある道具をいかに応用するか考えてほしい」

=2018/10/03付 西日本新聞朝刊=

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