ピル服用「月経移動」広がる 副作用リスクも…専門医と相談を

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 女性にとってゆううつな月経。頭痛や腹痛、倦怠(けんたい)感などに悩まされ、日常生活に支障が出る人もいる。受験やスポーツ大会など大切なイベントと重なりそうな場合、事前に避妊薬のピルを服用することで、月経を前後にずらす「月経移動」という方法が、若い女性の間でじわりと広がっている。ただ公的医療保険は適用されず、吐き気や不正出血などの副作用が起こる恐れもあり、専門医とよく相談することが求められる。

 副作用が比較的少ない低用量ピルが国内で発売された1999年以降、避妊目的だけでなく、重い月経痛などが特徴の月経困難症の治療薬としても使われ始めた。2008年から同症と診断された場合のみ保険が適用されるようになった。

 月経移動は、服用中は月経が止まり、服用をやめると2、3日後に月経が始まるピルの性質を利用し、女性のQOL(生活の質)を向上させるために考案された。日本女性医学学会によると、次の月経を早める方法と遅らせる方法がある=イラスト参照

 早めるには、直前の月経の初日から7日目までの間にピルの服用を始め、10~14日ほど飲み続ける。イベント期間中に服用せずに済む利点があるが、個人差があるため服用後の月経が何日続くか不確実で、長引いてイベントに重なってしまう恐れもある。遅らせるには、次の月経予定日の5~7日前から、月経を止めたい日まで服用する。

 原則、自由診療のため、費用は医療機関によるが、月3千円前後のところが多い。

 福岡市の高校2年の女子生徒(17)は、今年の9月下旬から1週間の修学旅行を控えていた。直前の月経は8月26日に始まり、次の月経が旅行と重なる可能性が高かった。このため8月末、同市中央区のかねまるウィメンズクリニックに相談。次の月経を早めるために、この日から低用量ピルを1日1錠、12日間連続で服用。月経は9月中旬に始まり、旅行前に月経を終えることができたという。

 同クリニックの城田京子医師(48)は「私たちが学生のころは良い薬がなく我慢するしかなかったが、今は受験生などが本来の力を発揮するための方法として認められている」と話す。

 別の医療機関では、高校スポーツの強豪などアスリートもかかっている。月経が重なると、貧血や月経痛で最高のパフォーマンスが保てない恐れがあるためという。

 月経痛が重く、鎮痛剤も効かない人は、大学受験などの試験日と重なると大変だ。女子限定の医学部専門予備校「メディカルフォレスト自由が丘校」(東京都目黒区)は、入校時の説明会で月経移動という選択肢があると伝えている。進学アドバイザーの望月順子さん(41)は「医師を目指す生徒に、体調を自己管理する一つの方法として知ってもらうことも大切と考えている」。

 ただ国内の販売元によると、低用量ピルでも吐き気や頭痛、不正出血、むくみなどが服用者の0・1~5%で報告されている。ホルモンの作用で血液が固まりやすく、血栓症による死亡例も10代や20代を含め複数確認されており、厚生労働省は14年、薬の添付文書に警告欄を設けて注意を促すよう販売元に指示した。

 喫煙者や手術予定の人、高血圧の人など、服用が禁止されている禁忌例も多い。日本ではインターネット上で販売している個人輸入の代理店もみられるが、リスクが高い薬のため、必ず婦人科の専門医に相談した上で、服用するか判断することが大切だ。

 ▼経口避妊薬(ピル) 避妊薬のピルはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類の女性ホルモンを含む錠剤。卵巣の働きを抑え、排卵を抑制することで避妊効果が得られる。月経痛の緩和や月経不順の改善にも効果があるが、人によっては吐き気や血栓症などの副作用を伴う。日本では医師の指示のもとでの服用が求められる。ホルモンの含有量によって高用量、中用量、低用量の3種類に分けられる。

=2018/12/04付 西日本新聞朝刊=

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