育休体験 取得男性の胸の内 福岡市で交流会 「社内評価下がらず」「対等な立場で考える機会に」

育児休業を取得した男性たちが体験を語ったセミナー=11月末、福岡市
育児休業を取得した男性たちが体験を語ったセミナー=11月末、福岡市
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育児休業を巡る日米の違いなどについて語るバネッサ・善治さん
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 男性の2017年度の育児休業取得率は5・14%。83・2%の女性に比べ圧倒的に低く、いまだ浸透しない中で、育休を取った男性は何を感じているのか-。その体験談を通して、誰もが活躍できる社会を目指す異業種交流会「ダイバーシティ時代のキャリアセミナー~男性の育休について考える」(福岡銀行など主催)が福岡市で開催された。育休経験のある男性4人が語り、地元企業の社員ら約50人が耳を傾けた。

 安川電機(北九州市)の八尋慶太さん(33)は娘が生後6カ月の時に2カ月間育休を取得した。経済的不安や業務に穴を空ける心配に加え、育休を取る男性が周囲にいなかったため「社内評価が下がるのでは」と気になった。しかし実際は「昇進のための推薦文に、上司が『育休取得』と書いてくれた」という。

 西日本新聞社(福岡市)の畑山晋作記者(37)は1年間休んだ。育児を主体的に担う前は、夜泣きした娘を「ほら泣いてるよ」と妻に任せようとして怒らせたりしたが、「育休を取って対等な立場で物事を考えられるようになった」。法律上は男女問わず取得できるのに、男性が取得しづらい現状について「早くから育休を取りたいと伝えているのに、(業務調整の)対応ができないのは会社の責任。男性が取得できない会社の方に標準を合わせる必要はない」と呼び掛けた。

 2度目の育休中という九州大(同)の職員、阿志賀公一さん(37)は「多くの女性がしていることを、自分がしているだけなのに褒められる」と苦笑い。「夫婦で家事や育児が同じレベルでできると、何があっても臨機応変に対応できる。ぜひ長期で取ってほしい」と意義を強調した。第4子が生まれた際に3週間の育休を取った九州電力(同)の千布浩一郎さん(37)は、育休取得を上司に相談すると驚かれたといい「『イクボス』(仕事と育児などの両立に理解のある上司)を増やすことが大切」と提案した。

 また育休取得のメリットとして、ライフプランを夫婦で共有できたことや、残業しないよう効率的な仕事を心がけるようになったことなどが挙げられた。これに対し畑山記者は「メリットの有り無しで考えるのではなく、長い就労期間のうち1年ぐらいは子どもと一緒に過ごすのが当たり前、という社会に変わってほしい」と意識変革の必要性を訴えた。夫婦そろって育休を取った八尋さんは「他の心配をせずに育児に取り組めるのは人生において貴重な経験になる」と語った。

 交流会は昨年8月、女性活躍を推進しようと情報交換を目的に初開催。地場企業4社でつくる委員会が主催しており、今回が3回目。

 ●善治在福米領事 「平等に分担、これからの課題」

 セミナーでは在福岡米国領事館のバネッサ・善治広報担当領事が基調講演で、自身の体験や日米の育休制度の違いなどについて語った。

 各国を転々とする善治さんと暮らすため、日本人の夫は自身のキャリアを中断した。「簡単なことではなかったが、実は多くの女性はこの選択をしている」。どの国に赴任しても働けるように、夫は今、フリーランスの仕事や子育てをしながら、日本語講師になる勉強をしているという。

 日米の性別役割分業についても言及。米国では1960年代以降、父親が家事や育児に費やす時間が2~3倍に増えたが、依然、母親の負担は大きい。「日米ともに責任を平等に分担することが、女性がキャリアを追い求める助けになる」と述べた。また、米国は一部の州を除き、手当が出る育休制度がなく、一部の企業だけが独自に取り組んでいることなども紹介した。

 日本で浸透しているワーキングマザーやイクメンという言葉について、「女性が仕事より育児をすることを期待されている社会を暗示している」と述べ、父母のワークライフバランスは取り組むべき課題と訴えた。

=2018/12/11付 西日本新聞朝刊=

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