思春期の子との関わり方は 問題行動目立ったら 軽く叱り しっかり褒める ベテラン里親 土井さんが対処本

著書を手にする土井高徳さん
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 北九州市で養育里親やファミリーホーム代表として、非行や虐待などで傷ついた子どもたちを17年間受け入れてきた土井高徳さん(65)が「5つの問題行動別『手に負えない思春期の子』への関わり方」(小学館)を手掛けた。豊富な体験に基づき、行き詰まったときの子どもへの対応方法を紹介している。「どう接したらいいか戸惑っている人たちの気持ちを少しでも軽くできたらうれしい」と話している。

 親と暮らせない子どもたちと支援者が家族のように暮らす養育里親や、その拡大版のファミリーホームは、児童福祉法に基づき全国で設置されている。土井さんは2002年に養育里親に登録、3年後に障害児などより養育の難しい子どもを預かる専門里親に。09年にファミリーホーム「土井ホーム」を開設した。今は12~18歳の子ども以外に、住む場所がなく居住契約を結んだ20代など計8人が、3棟に分かれて生活している。

 出版のきっかけは、親からの相談だった。「子どもとの接し方が分からない」「暴れる子どもとどう向き合えばいいの」。土井さんの会員制交流サイト(SNS)には毎日、子どもとの関係に悩む親からのメッセージが届く。講演会の後も質問が途切れない。預かっている子どもたちの親も、自身の生い立ちを含めさまざまな悩みを抱えていた。

 相談に応じていて、親たちの表情が緩むのが「大変ですね」「大丈夫ですよ」「応援しています」という三つの言葉を掛けたとき。親が孤立していると思った。児童相談所の養育指導で自身が責められているように感じ、疲れている親もいた。「子どもが安定した家庭で育つためにも、親の不安を受け止めなければ。すーっと気持ちが軽くなり、気付けば学びもある。そんな本を」と思い立った。

 本は(1)学校内暴力(2)家庭内暴力(3)非行・少年犯罪(4)不登校・引きこもり(5)依存-の章ごとに対応方法を掲載=イラスト参照

 学校内暴力では、学校にゲーム機や刃物を持って行った中学2年生を3分以内で静かに叱り、テストで高得点を取ったときは、みんなで「たいしたもんだ」「字がきれい」とたくさん褒めたケースを紹介する。土井さんは、問題行動の目立つ子どもは幼少期から叱られた体験が多いとして「軽く叱って、しっかり褒める」大切さを強調する。長時間の叱責(しっせき)は「子どもが心のスイッチを切ってしまい、効果がない」という。

 発達障害、虐待、非行…。土井ホームにはさまざまな問題が複雑に絡み合った子どもがやってくる。「日々の生活での関わり方」「親の支援も子ども支援」の章も設け、時間をかけて子どもの成熟を待つこと、子育てがつらいときは誰かに協力を求めることの重要性も説いている。

 大人が見逃しがちな小さな変化が、子どもにとっては大きな一歩であることも。非行や家出を繰り返していた少年が、土井さんの肩をもみながらぽつりと漏らしたという言葉が印象的だ。「考えてみると先生と出会ったのは、僕が非行をしたからですよね」

 土井さんはこう評価する。非行がきっかけで信頼できる大人と出会ったことに気付き、傷ついた体験も含めて「自分の物語」を創造しはじめたのだ、と。

 192ページ、1404円。小学館=03(5281)3555。

=2019/03/19付 西日本新聞朝刊=

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