「介護退職ゼロ」訴え 京都でケアメン・サミット 男性たち 悩み語り合い

全国から集まった男性たちが語り合った「ケアメン・サミットJAPAN」
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 親や妻などを介護する男性(ケアメン)たちが体験や悩みを語り合う「ケアメン・サミットJAPAN」が11月、京都市で初めて開かれ、全国から約70人が集まった。今や100万人を超え、介護人口の3分の1を占めるという男性介護者。サミットでは、介護によって仕事を断念し、暮らしが破壊されることのない「介護退職ゼロ」の実現を訴えた。

 サミットは、2009年3月に発足した「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」(事務局・京都市)主催。男性介護者グループは全国に約100団体、九州でも9団体が定期的に会合を開くなどしているという。

 参加者たちが情報交換した後、5人が「介護と仕事」をテーマに体験を語った。京都市の武田卓也さんは、23歳から続く母の介護を振り返った。くも膜下出血で倒れた母のため、3度の介護離職を経験し「仕事を辞めると、強い孤立感に悩まされる。辞めない強さが必要」と強調した。

 東京都の男性は認知症の父を母と2人で介護中。介護疲れの母が父を虐待するようになり、退職に追い込まれた。仕事に影響が出て、同僚に暴言を吐かれたこともあったという。「企業に理解があっても現場は違う。仕事を辞めなくてもいい環境をつくってほしい」と、切々と訴えた。

 一方、くも膜下出血で倒れた妻を介護しながら定年退職まで働いた大阪府の男性は「有給休暇を午前と午後に分けて取得できる半日休制度の新設などが役立った。制度を利用しやすい職場環境にも助けられた」と報告した。

 立命館大学教授で男性介護ネット事務局長の津止正敏さんは「これから日本は体験したことのない介護社会を迎える。『弱い』介護者である男性の介護実態に目を向ければ、新しい介護の課題が見えてくる」と語った。

 ●両立支援は経営課題 東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長 渥美 由喜さん

 認知症と統合失調症を患う父の介護、7歳と3歳の子どもの育児、そして仕事を両立する東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長の渥美由喜(なおき)さん(45)が「男性介護ラッシュが職場を変える」と題して基調講演した。要旨は次の通り。

 介護と仕事の両立は大きな経営課題となり、先進企業は真剣に取り組み始めている。男性介護者が増えると、日本社会も職場も大きく変わる。

 データを見ると、現在介護している570万人の過半数(290万人)が働いている。40~50代は170万人を占め、その4割が男性。今後、介護と仕事の両立で身体的にも精神的にも疲弊する社員は急増する。だが、介護休業の取得率は4%どまり。取得できない職場風土が大きな要因だ。余裕のある大企業でなければ両立支援に取り組めないというのは誤解。介護による離職・転職者は増えるため、中小企業にとっては介護しやすい職場環境を整えれば、人材獲得の好機につながるだろう。

 私も弟夫婦も共働き。母は故人で家族に「主婦」がいなかった。自宅で1人暮らしをする父の介護を「一大プロジェクト」と位置づけ、全員で経済負担や時間配分、支援体制などを話し合った。まさにビジネス会議。むしろ介護はビジネスパーソンに向いており、仕事で培った情報収集力や人間関係構築力などがあれば、必ず乗り越えられる。

 1人が「職業人・家庭人・地域人」という3役をこなせば、人口減社会でも活性化していくはずだ。


=2013/12/19付 西日本新聞朝刊=

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