僕は目で音を聴く(5) イヤホンだったら外すけど

僕は目で音を聴く(5)イヤホンだったら外すけど(平本龍之介)
僕は目で音を聴く(5)イヤホンだったら外すけど(平本龍之介)
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 コンビニで宅配便の送料について確認したかったため、店員に問い合わせたときのことです。彼はマスクを着けていました。私は読唇術で相手の言葉を読み取ります。「私は耳が聞こえませんので、マスクを外してもらえますか?」と口頭で伝えました。ところが彼はマスクを外さないまま、自分の耳をしきりに指さしながら、ずっと何かしゃべっています。

 態度にムカッときたので名札を見て、わざとらしく「○○さんですね」と確認し、店を後にしました。彼は追いかけてきて、マスクのまま話し続けました。「聞こえないので分からんです!」。大声で応じても、外す気配はありません。彼の様子を真剣にうかがうと、どうやら「もう来ないでください」と言っているのが分かりました。大変立腹し、そのまま別れました。

 怒りが収まらず、そのコンビニの本社に苦情のメールを送ったところ、担当者から謝りのメールがありました。すると、その店員は「補聴器とは分からず、イヤホンだと思った。そのイヤホンを外してくださいと伝えていた」というのです。

 確かに誰でも、イヤホンをしたまま話をするのはマナー違反でしょう。でも…。複雑な思いが、なかなか消えませんでした。

 目が見えない人や肢体不自由の人に比べ、聴覚障害者は見た目で分かりにくいと言われています。だから私は、着けている補聴器をアピールしようと常々考えています。それをイヤホンと勘違いされるのなら-。この前広告で見た、耳をふさがず骨を振動させて音を伝える「骨伝導イヤホン」の見た目も補聴器そっくりでした。最近はワイヤレスのイヤホンも人気です。

 妊婦のマタニティーマークみたいに、聴覚障害者だと分かるものを常に身に着けるしかないのかもしれません。最近は筆談できるブギーボード(電子メモパッド)を買って持ち歩いてます。裏面に「耳が聞こえません」とシールが貼ってあるし…。互いの認識の食い違いによる無用なトラブルは、本当に残念でなりません。(サラリーマン兼漫画家、福岡県久留米市)

プロフィール 本名瀧本大介、ペンネームが平本龍之介。1980年東京都生まれ。2008年から福岡県久留米市在住。漫画はブログ=https://note.mu/hao2002a/=でも公開中。

=2018/05/10付 西日本新聞朝刊=

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