在宅支援へ、連携の道探る 6拠点病院が 医ケア必要な子と家族のため 福岡でシンポ

病気や障害のある子どものための連携策などを話し合った「小児在宅医療シンポジウム」=14日、九大医学部百年講堂大ホール
病気や障害のある子どものための連携策などを話し合った「小児在宅医療シンポジウム」=14日、九大医学部百年講堂大ホール
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 ●福祉や教育と 利用者目線で

 新生児集中治療室(NICU)などを退院し、人工呼吸器を着けるなど重度の医療的なケア(医ケア)が必要な在宅の子どもや家族を支えるため、医療機関が担うべき役割とは-。福岡県は、九州大学病院など六つの拠点病院を中心に、子どもの在宅医療の担い手拡充や福祉、教育との連携体制づくりに取り組む。関係者が本年度の活動を報告し、意見交換する「小児在宅医療シンポジウム」が14日、福岡市内で開かれた。

 親たちの負担軽減を目的にこうした病院が直接、子どもを一時預かりするには課題が多い。訪問看護ステーションや福祉事業所などとのネットワークを深め、対応する仕組みが急務だ、との認識で一致した。

 ▼18歳未満409人

 九大病院の調査によると昨年6月時点で、県内の中核病院にかかる医ケアが必要な40歳未満の患者は507人、うち18歳未満が409人。人工呼吸器の使用や管を使った栄養注入、気管切開をしている人が少なくない。患者の医ケアは自宅では主に親が24時間態勢で行う。在宅生活を続けるには患者を短期間、預かる受け皿が必要となり、高度な医療を提供している中核病院への期待は根強い。

 病院側は、患者を呼吸管理や投薬が適正かどうか評価する「医療評価入院」として受け入れ、親に付き添いを求めないことで負担軽減を図る例が全国的に増えつつあるものの、こうした実績のある県内の中核病院は2割止まり。特に急性期の病院は一時預かり用の病床や見守り要員を確保しにくいことなどが背景にあるとみられる。同院医療連携センター看護師の野母ゆか里さんは「調査では、院内のスタッフ増員、財政支援が必要との声が多かった」とハードルを指摘した。

 ▼看護師研修充実を

 患者と家族は退院後、主に訪問看護師などの支援を受けて暮らす。病棟での入院生活とは異なり、医療スタッフ同士の細かい引き継ぎが求められるが、実際は退院後は在宅の支援者任せとなるケースも少なくない。

 福岡市立こども病院は昨年10月、主治医と病棟担当の看護師が、呼吸器を着けた1歳5カ月の子どもの退院前に、母親と自宅を訪問。自宅の駐車スペースが狭く、車からベビーカーに乗り換えにくい▽ベッドが低すぎて介護者がケアをしづらい-ことなどを把握した上で、移動方法を見直したり、マットレスでベッドの高さを調節したりするなど療養環境をととのえた。「スムーズに在宅に移行でき、家族の満足度も高かった」と同院地域医療連携室の竹内千晶さんは振り返る。

 同院は訪問看護師ら他職種との研修会も開催。たとえ看護師でも、小児看護の経験が少ない参加者も多かったという。医ケアのある子どもの受け皿拡大には「訪看だけでなく、学校や施設に所属する看護師にも研修を広げていく必要があるのでは」と提案する。拠点病院の「知見」を地域に広げる取り組みともいえる。

 ▼新たな調整役養成

 他職種との連携を深めるため、県は国の方針に従い、医ケアが必要な子どもに関する専門知識や経験を積んだ新たなコーディネーター養成を進める。ホームヘルパーなど障害福祉サービスの調整役を担う従来の相談支援専門員は「医療」とのつながりが薄いためだ。

 在宅生活を見越せば、家族には入院中から支援やアドバイスが必要となるが「病院と連携しようとしても医療の専門用語が分からない」と北九州市立総合療育センター地域支援室長の横田信也さん。同センターは県からコーディネーターの養成研修事業を請け負い、相談支援専門員の資格者らを対象に研修を行っている。

 ただ国側はコーディネーターが実際に仕事する場所や報酬などについて方針を示していない。横田さんは「もともと相談支援専門員も十分な報酬を得ていない。継続的な活動の場所を保障し、役割について他職種の理解も深めるなど、孤立させない環境整備も不可欠だ」と強調した。

 支援の「担い手」や相談の「受け手」が多岐にわたるからこそ、家族が戸惑う場面も多い。利用者目線に立った「連携支援」の仕組みも求められる。


=2018/01/18付 西日本新聞朝刊=

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