就労体験、高1がサポート 特別支援学級の中学生と学ぶ 企業側の先入観変える狙いも

犬に餌やりをする氏福杏平さん(前列左)。高原大地さん(後列右から2人目)ら高校生が見守った=8月7日、福岡市の東部動物愛護管理センター
犬に餌やりをする氏福杏平さん(前列左)。高原大地さん(後列右から2人目)ら高校生が見守った=8月7日、福岡市の東部動物愛護管理センター
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竹ノ上駿介さん(左端)、清水梨瑚さん(左から3人目)とともに、イベントの裏方スタッフとして受け付けを体験する野田望月さん(左から2人目)=8月26日、福岡市中央区
竹ノ上駿介さん(左端)、清水梨瑚さん(左から3人目)とともに、イベントの裏方スタッフとして受け付けを体験する野田望月さん(左から2人目)=8月26日、福岡市中央区
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 福岡工業大付属城東高(福岡市東区)の1年生たちが、特別支援学級に在籍する中学生の就労体験のサポート役として“奮闘”している。授業に招いて将来の夢を聞いたり、夏休み中に仕事を体験する場に付き添ったり…。知的障害や発達障害がある子どもの将来の就労や、その定着を目指す同市の一般社団法人「チャレキッズ」が協力し、本年度、同校の総合学習の一環として初めて企画した。若者たちが多様性を認め合い、社会参加を通じて課題を解決していく力を身に付ける貴重な機会となっている。

 8月7日、市の東部動物愛護管理センター。ボランティアスタッフの助けを借りて、犬の世話を体験していたのは市立当仁中1年の氏福杏平(きょうへい)さん(12)。犬舎を掃除したり、餌をやったり。猛暑のなか汗を流す「きょうちゃん」を城東高1年の高原大地さん(15)ら生徒4人が見守った。

 初めて対面したのは6月。同高の総合学習の講座に当仁中の特別支援学級に通う5人を招待した。中学生1人と高校生4人の計5人を一組として班分け。同じ敷地内の大学の構内も案内するなど約2時間を過ごし、趣味や体験してみたい仕事などを話し合った。

 氏福さんは人懐こく「かわいくて活発だった」と高原さん。会う前は「自分が変に気を使ってしまい、自然体で話せないのでは」と不安だったという。「自分たちと何も変わらない。明るい個性を生かして、将来は人と接する仕事に就いてほしい」と目を細めた。

   ◇    ◇

 チャレキッズは前身の活動を含めて3年前から、障害の特性によって意思疎通が難しいなど働き場がない人たちの社会参加を促そうと、企業での職場体験などに取り組む。実際に障害者と触れ合った経験が乏しい企業側の先入観を変えていくのが狙いだ。今回、高校生向けの取り組みを企画したのは「将来、さまざまな企業で働く若い世代に、早いうちから理解を深めてもらいたかった」と代表理事の中嶋一顕さん(45)。

 5月に始めた週1回の講座には中嶋さんも出向き、班ごとの座学やワークショップなどを通し、コミュニケーションのあり方▽仕事体験に当たって必要な配慮▽企業にお願いすること-などを考えてもらい、仕事体験の内容や日程づくりなど準備を進めてきた。

 開講時、高校生にアンケートすると「実際に関わったことがないので、この機会に学びたい」「自分の考えている悪い考え(偏見)が本当にそうか確かめたい」「障害があってもどんな仕事にも就けるのか」…。期待や不安など率直な思いがつづられていた。

 中嶋さんは「障害のあるなしに関わらず、大切なのは、一人一人がコミュニケーションを通じてお互いを認め合う作業だと気づいてほしい」と願う。

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 8月26日、同市中央区大名。当仁中2年の野田望月(みづき)さん(13)は、地元のグルメイベントの裏方スタッフを体験した。路上のテントでチケットを売ったり、道行く人に宣伝マップを配ったり。ともに体験しながら付き添った城東高の竹ノ上駿介さん(16)は「自分たちも初めてだし、大変な仕事」と不安顔。緊張気味でマップ配りにも尻込みしていた野田さんだったが、最後に自ら路上に出て、1枚受け取ってもらえると満面の笑み。竹ノ上さんは「ちゃんと成功でき、本人も自信になったのでは」とうなずいた。

 一方、テントでの受け付けでは集中が途切れ、席を外すことも。同じく一緒にお金の計算をするなどして見守った清水梨瑚(りこ)さん(15)は「自分たちが全部やったら本人のためにならないし、難しかった」と振り返る。「障害によって特徴が違うと分かった上で、その人ができることからまず自信をつけてもらって、できなかったことにチャレンジするのを、一緒にサポートしていく姿勢が大事かな、と思います」-。

 ともに悩み、笑い、試行錯誤した各班の取り組み報告は9月中の授業で行う予定だ。

=2018/09/06付 西日本新聞朝刊=

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