議会20年、語られぬ地名 福岡市の24ヵ所議事録分析 「天神」は発言最多1299回

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 NECソリューションイノベータ九州支社と西日本新聞は、九州一の人口を抱える福岡市市議会の議事録約20年分(1997年~2016年9月)のデータを分析し、発言された地名の傾向を調べた。商業や行政機能が集まる都心部や、開発計画がある地域は議員らの注目度が高い一方、市の境に近い地域の地名が少ない傾向が鮮明になった。357カ所中、24カ所は本会議と各委員会を含めて、市議会で20年間一度も発言がなかった。

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 インターネットで公開されている議事録を分析した。本会議の市議や歴代市長、市幹部の発言計約5万8千件を対象に調査。住民基本台帳を基に、区以下の地名が含まれる計1万4616件の発言内容をまとめた(地名の「西」「港」は判別が難しく、対象外とした)。

 本会議の発言内容をみると、行政区別では博多区、東区は各約2900回。城南区は約700回と、東区の4分の1以下だった。城南区は最も人口が少ないものの、人口比や区選出議員数の割合と比べても発言の少なさが目立つ。

 地名別では「天神」が最も多い計1299回。「博多駅中央街」など博多が付く地名4カ所が計1061回。「天神」「博多」で16%を占め、近年は九州大移転・跡地再開発がある「箱崎」や「西新」など開発が進む地域が目立った。一方、地名の2割は「1回」か「0回」だった。このうち本会議だけでなく、各委員会でも20年間一度も発言がなかった地名が24カ所あり、注目度の差が浮き彫りになった。

 一度も議員らに言及されなかった地名には、2013年に町名変更があった西区の「徳永北」周辺などの新しい地名や、中央区の「薬院伊福町」など面積が狭い地区がある。また、博多区の「光丘町」「竹丘町」など他の自治体に近い地域も発言されない傾向があった。一部住民からは「生活圏が市をまたいでいるので注目されないのでは」との声も出ている。

 一方で、博多区竹丘町では09年7月、豪雨により農業用のため池周辺の道路が冠水。市は周辺に雨水を逃がす工事に取り組むが、近くに住む女性(48)は「困り事など誰に相談したら良いか分からない」と不満を漏らす。約10年間議会で質問を受けてきた市幹部OBは「地域をよく探せば課題や改善点はあるはず。議員によって問題意識の差がある」と指摘する。

 議会の議事録は九州7県の県議会、県庁所在地の各市議会も公開する。ただ形式や公開情報はさまざまで、二次利用しやすい「オープンデータ化」が課題となっている。

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=2017/04/07付 西日本新聞朝刊=

※注釈

1)福岡市市議会の定例会および臨時会の議事録を対象に分析。期間は1997年2月~2016年9月

2)地名は住民基本台帳を基に整理して分析

3)地名「西」「港」は判別が難しい場合があり、調査対象外とした

4)位置情報は、国土交通省の位置参照情報ダウンロードサービスなどを参照した

5)1回の発言に同じ地名が複数回含まれる場合は「1回」と数えている

6)複数の行政区にある地名は、以下の通りとした。
那の川(南区)、鳥飼(城南区)、平和(中央区)、飯倉(早良区)、梅林(早良区)、荒江(城南区)、干隈(城南区)

7)一部ひらがな表記と漢字表記がある発言者がおり、同一人物と思われるが基資料通り別項目で参照した。

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