「ため池の公園化」前進 住民要望たなざらし 福岡市が釈明

住民が公園整備を望むガワシ池。堤防のそばに家が並び、豪雨時の決壊を心配する声もある
住民が公園整備を望むガワシ池。堤防のそばに家が並び、豪雨時の決壊を心配する声もある
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 使われていない農業用ため池を公園にしてほしい-。そんな住民の要望が長くたなざらしになっていることが、19日の福岡市議会で明らかになった。ため池がある南区の三宅校区では、災害時に避難場所となる公園を求める声が根強い。だが、池の水を管理する水利組合が「渇水に備え、ため池は必要」としている事情もあり、市は対応を先送りしていた。

 小高い丘の上にあるガワシ池(南区和田3丁目)。有効貯水量約9500トン。面積は5765平方メートルで、埋め立てればサッカーグラウンドができる広さだ。堤防のすぐ下には民家が立ち並び、近くに住む中津留凖介さん(80)は「近年は想定外の豪雨がある。決壊したら危ない」と訴える。

 かつては水田が広がっていた三宅地区。校区の人口は市内有数の約1万6600人に膨らんだ。対照的にコメ農家は年々減り、ガワシ池の水を直接引く水田はなくなった。

 周辺住民は2012年、池を埋め立てて公園にする要望書を市に提出。池の底地を所有する財産区も、土地を市に無償提供する方針を示した。好条件が整い、住民は市と協議を重ねたが具体化しなかった。

 市によると、ため池を公園にするには水利組合が用途を廃止する必要がある。だが、農林水産局は「用途廃止(の申請)を出してもらえていない」、公園を担当する住宅都市局は「農林水産局が用途を廃止できれば(整備ができる)」と、どちらも主体的に対応しなかった。

 19日の市議会で、農林水産局の則松和哉局長は「地域の合意形成が進展することを期待してきた」、住宅都市局の光山裕朗局長は「地域一帯の取り組みを期待してきた」と釈明。この問題を取り上げた大石修二市議(公明)は「どの関係局も責任を持って対応しなかった」と指摘し、「大いに反省していただきたい」と述べた。

 大石氏は打開策として、ガワシ池に隣接する中尾池(面積5906平方メートル、有効貯水量8200トン)の活用を挙げ「ガワシ池を公園として整備し、中尾池から営農のための水を確保すべきだ」と提案した。

 則松局長は「必要な農業用水は確保できる。地域住民の要望を満たしつつ、営農者との共存を図る現実的な案だ」と応じ、公園の整備を前提に水利組合と協議する意向を示した。

=2017/09/20付 西日本新聞朝刊=

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