外国人就労拡大「定住前提に支援を」 教授に聞く政府方針の課題

 政府は15日、外国人の就労を拡大する「骨太方針」を閣議決定した。移民政策が専門の鈴木江理子・国士舘大教授に骨太方針の意義や課題を聞いた。

 -どう評価するか。

 「日本社会が必要な労働者をフロントドアから受け入れることを表明した点は評価できる」

 -技能実習制度とつながる制度設計だが。

 「論外だ。昨年11月に適正化をうたった技能実習法が施行されたばかりにもかかわらず、技能実習修了者を労働力不足への対応に使うとしたら、自分たちが作ってきた制度の目的を否定する自己矛盾に陥ることになる」

 -受け入れ業種の決め方も見えない。

 「各所管省庁が受け入れ業種や基本方針を決定するとなっており、結局のところ労働需要に応じて、なし崩し的に拡大される可能性が高い。技能実習(現2号)移行対象職種が、業界からの要望に応える形で拡大された経緯を考えれば、同じことが起こるだろう。さらに受け入れ要件となる技能水準も省庁任せになっている点も問題だ」

 -労働力不足に場当たり的ということか。

 「技能実習3年修了者は日本語や技能試験を免除とあり、すぐにでも新資格で受け入れ可能。1997年に最長3年になって以降の修了者はかなり多くいるはずなので、当面はそこが労働力供給源になるだろう」

 -「移民政策とは異なる」と位置付けている点は。

 「『移民』『移民政策』とは何かという共通理解がない。日本社会で働き、生活する移住者と、その家族を対象とした政策であると捉えるならば、既に日本は『移民国家』であり、移民政策はまさに現在進行形で取り組むべき課題である。日本に暮らす『移民』から目を背け、社会保障や子どもの教育などへの取り組みを先送りする口実に、『移民政策』ではないと言い続けているのではないか」

 -生活者として迎えるために何が必要か。

 「『管理』を担う法務省が司令塔となることは適切ではない。生活ガイダンスや日本語習得などの支援の主体が民間任せになっているのも問題だ。国や自治体が予算措置を含めて責任を持つべきで、同時に地域社会が受け入れ環境を整備する必要がある。やがて帰ってしまう還流型ではなく、定住型で受け入れることで、地域社会が変わるきっかけになるはずだ」

=2018/06/16付 西日本新聞朝刊=

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