外国介護人材本当に集まる? 「特定技能1号」初年度見込み5000人 日本語が壁、現場は懐疑的

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 国会審議中の入管難民法改正案を巡り、政府は新たな在留資格「特定技能1号」で介護業が受け入れる外国人労働者を5年で5万~6万人と見込む。現場の深刻な人手不足を受け、対象14業種で最大の受け入れ数だ。初年度だけでも5千人を見込むが、果たしてそれだけの人材を確保できるのか-。現場では懐疑的な見方が広がっている。

 介護分野では既に(1)介護福祉士の資格を持つ在留資格「介護」(2)経済連携協定(EPA)に基づく「特定活動」(3)技能実習制度-の3種類の在留資格がある。これまで受け入れたのは、2008年に始まったEPAで累計4302人(うち719人が介護福祉士の資格を取得)▽昨年スタートした在留資格「介護」で今年6月末で同177人▽昨年開始の技能実習制度は同10月末で同247人。これら三つを足しても5千人に満たない。

 介護業で受け入れのネックになるのが、日本語能力だ。介護は対人サービスなので在留資格によって日本語能力の規定があり、例えば技能実習では入国時に日本語能力試験の「基本的な日本語を理解できるレベル(N4)」、2年目に「日常的な場面で使う日本語をある程度理解できるレベル(N3)」の合格が必要になる。

 新制度での受け入れ見込み数の根拠について、根本匠厚生労働相は「技能実習の受け入れ実績がまだ少ないので、施設の受け入れ希望状況を基に試算した」と説明。人材が集まるかどうかについては「施設は受け入れ準備が必要で、段階的に増えていく。1年目は希望する施設の4分の1が受け入れを開始すると想定している」と明言を避けた。

 本当に人材は集まるのか? 現場からは疑問の声も聞こえる。「うちでは介護職の受け入れ実績はまだゼロ。小規模施設では外国人を受け入れたくても、日本語指導の余裕がないため敬遠するケースが少なくない」と語るのは福岡県内の監理団体の関係者。厚労省幹部も「本当に5千人も集まるのか」と首をかしげる。

 介護の技能実習制度は昨年始まったばかりで、他の業種のように3年以上の技能実習経験者が特定技能1号に移行することは見込めない。これまでの政府の説明では、1号は必要な入国時の日本語能力や技術の基準が明確でなく、5年後に別の在留資格に切り替えられるのかも分からない。

 国会審議では野党議員から「(これまで)介護人材が予定通りに集まらないことを総括も改善もしないで、さらに5千人を要求するのはどういう了見なのか」など厳しい質問が相次ぐ。

 日本医療労働組合連合会の米沢哲(あきら)中央執行委員は「介護業は低賃金で過重労働。離職率が高く、日本人にも外国人にも厳しい環境だ。単純労働ではなく意思疎通が非常に重要な仕事で、日本語や介護技術の研修の養成施設がないまま受け入れるのは拙速だ」と批判している。

=2018/12/06付 西日本新聞朝刊=

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