改正入管法、現場の声は 「人手不足の解消へ」「性急 制度も不透明」

ダクト製作に従事するベトナムからの技能実習生=3日、北九州市小倉北区
ダクト製作に従事するベトナムからの技能実習生=3日、北九州市小倉北区
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 国会審議がヤマ場を迎えた、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案。人手不足などを背景に九州でも外国人労働者を受け入れる企業が増えている。法改正で現場の担い手確保に期待が高まる一方で、性急な議論や不透明な制度を不安視する声も上がる。

 和食レストランを展開する「梅の花」(福岡県久留米市)は2015年からベトナム人の技能実習生を受け入れ、現在は食品製造の3工場で54人が従事する。

 「みんな真面目で、1年間過ごせば責任ある仕事も任せられる」。久留米セントラルキッチンの白川潔工場長は実習生を評価する。

 同社では仲介団体を介して実習生を受け入れている。受け入れ前に現地を訪問、家族も交えた面談を行い、日本での暮らし方や在留資格について説明する。

 日本での待遇は給与や労働時間など、日本人従業員と同水準。上村正幸取締役は「今後、海外での事業拡大を考えると、現地での人材確保が欠かせない。受け入れは雇用ノウハウを蓄積することにも通じる」と展望を語る。

 また入管難民法改正案では、本業の「外食業」が新たな在留資格「特定技能1号」対象となり、人材獲得への期待も膨らむ。古川雄一郎人事課長は「ここ数年、新卒向けの就職サイトに募集案内を掲載しても、学生が全く集まらなくなった。業界の人手不足は深刻だ」と明かす。

 ただ、相当程度の知識または経験を有するとする「特定技能1号」の評価基準は不透明なまま。「実務と制度設計がちぐはぐになり、企業と外国人労働者の双方が損をする事態は避けてほしい」と注文する。

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 製造や建設業の現場でも外国人労働者の存在は欠かせない。総合設備業の大久保設備工業(北九州市)は、従業員約40人のうち半数がベトナム人。現場管理のエンジニア社員9人の他、ダクトの製作や取り付けを担う実習生も14年から受け入れている。

 日本国内での人手確保が厳しいことに加え、13年にベトナムに設立した合弁会社での雇用も視野に、受け入れを始めた。実習生たちはダクト製造装置の立ち上げ作業にも取り組み、効率的なダクトの製作が可能になった。今ではベトナム人のみの施工チームもある。

 大久保康男社長は実習生について「真面目で粘り強い。彼らなしでは会社は回らない」と語る。共同生活用の住居を用意し、経験豊富なベトナム人社員が業務や生活面でサポートする。

 入管難民法改正案を巡っては、時期尚早と感じるという。大久保社長は「受け入れ体制も含めて法整備をしっかりしないと、雇用側も働く側も不幸になってしまうのではないか」と懸念を口にした。

=2018/12/07付 西日本新聞朝刊=

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