就労外国人の結核検査、来日前に義務 政府、受け入れ拡大に対応 専門家「追跡調査も必要」

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 政府は、1日の改正入管難民法施行に伴って新たに入国する外国人労働者に、来日前の結核検査を義務付けた。国内で外国人の結核患者が増えていることから、罹(り)患(かん)者の入国を防いでまん延防止につなげたい考えだ。ただ、感染に気付かず入国し、後に発病するケースもあり、専門家は「入国後の追跡調査もするのが望ましい」と指摘。「日本人も危機感を持ち、さらなる予防策や啓発が必要」と訴えている。

 法務省などによると、出身国の医療機関で血液やエックス線の検査を受けてもらい、医師の診断も含めて罹患の有無を確認する。在留資格の申請時に健康診断書の提出を義務付ける。

 現在でも、結核など感染症の症状があれば入国を拒否できる。各空港では体温を感知するサーモグラフィー検査で水際対策をしているが「風邪に似た症状なので発見は困難で、未発病の感染者を見つけることはさらに難しい」(厚生労働省)のが実情だ。

 3月7日に福岡市の日本語学校で発覚した外国人学生と日本人職員計26人の集団感染もそうした一例とみられる。発端の患者は、人口10万人当たりの患者数が100人以上の「高まん延国」出身の男子学生。市の担当者は「母国で既に感染していて、入国後に発病したのだろう」と分析する。

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 国内で外国人の結核患者は増加傾向にある。厚労省によると、2017年の新規患者数は1万6789人で減少傾向だが、うち留学生や労働者など「外国生まれ」は1530人で、13年の1064人から4年で1・4倍になった。集団感染は27件で、福祉施設や病院で高齢者が感染するケースが多いものの、近年は外国人が目立つという。九州の日本語学校でも相次ぎ、昨年は1月に福岡市、8月に北九州市で発生した。全国では技能実習生が集団感染した事例もあった。

 ブータン人留学生を支援している団体「ネイチャー&ヒューマンズ ジャパン」(熊本県玉名市)の菅由美子代表は「多くの留学生はアルバイトと学業に追われ、過労とストレスで免疫力が低下している」と指摘。福岡市では留学生1人が入院中といい「狭い部屋で集団生活していて住環境も劣悪だ」と窮状を訴える。

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 ただ、結核は外国人だけの問題ではない。

 「昔の病気」というイメージがあるが、日本の10万人当たりの患者数は13・3人と先進国では高い水準。20年までに10人以下の「低まん延国」入りを目指すが、外国人が増えれば、日本人が高まん延国の出身者と接する機会も増える。

 外国人の入国前検査について、結核予防会結核研究所(東京)の森亨名誉所長は「導入した米国で実績があり、日本でも効果が出るはず」と期待。一方で、感染に気付かずに入国するケースを念頭に追跡調査の必要性を強調し「高齢者や社会的弱者の検診促進や、早期発見のための医師の意識向上などが必要だ」と訴えている。

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【ワードBOX】結核

 体内に入った結核菌が増殖して起こる感染症。せきやたんなどが主な症状で、せきやくしゃみのしぶきを通して感染する。加齢や体調不良など免疫力が低下すると発病しやすい。感染から発病まで数カ月から数年かかることが多く、数十年後のケースも。2017年は世界で1千万人が新たに発病し、160万人が死亡している。服薬治療は半年以上かかる。

=2019/04/03付 西日本新聞朝刊=

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