今天中国~中国のいま(34) 「強い指導者」に注目

 中国のニュース番組で「アンベイ」という言葉を聞かない日はない。「安倍」の中国語読み、つまり安倍晋三首相のことである。

 最近も森友学園の問題や憲法改正発言が報じられた。保守的な対中強硬派として知られており、中国では厳しい報道が目立つ。

 共産党機関の知人に、戦後日本の歴代首相のうち指導者として評価できる人は誰か、尋ねたことがある。彼が挙げたのは軽武装・経済優先の路線を敷いた吉田茂氏、日中国交正常化を実現した田中角栄氏、そして意外にも小泉純一郎氏だった。中国と関係が良好だった首相を差し置いて、靖国神社参拝を巡り中国と対立した小泉氏をなぜ、と問うと「手ごわいからです」。

 1911年の辛亥革命まで皇帝の治世が続いた中国では、わかりやすく「強いリーダー」が評価される傾向にある。実際、強い指導力を売り物にする習近平国家主席の人気は、穏健な印象のある前任の胡錦濤氏より高い。対外的にも「すぐにかしずく国より、思うようにならない国のリーダーに一目置く」(外交官)。

 別の共産党関係者は、安倍氏の政治信条や一族の歴史をひもとく「安倍本」を読んでいた。近年にない長期政権の主は“研究”の対象になっているようだ。

 「1強」と称されるのは習氏も同じ。政治家の家庭に生まれ、強い信念を感じさせる一方、敵もつくる点で「習氏と安倍氏は似た者同士」という声を聞く。習氏は今秋の党大会を経て少なくとも2022年まで、安倍氏は来年の総裁選で3選されれば21年まで在任する可能性がある。2人のケミストリー(相性)に変化はあるか。 (北京・相本康一)

 =随時掲載

=2017/05/14付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]