今天中国~中国のいま(41) 施しもスマホ決済で

あらゆる店先に、決済用のQRコードがある。ある店では「客の9割以上はスマホ決済です」(店主)=北京
あらゆる店先に、決済用のQRコードがある。ある店では「客の9割以上はスマホ決済です」(店主)=北京
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 北京のスーパーに行った際、レジの女性が申し訳なさそうに言った。「今日は微信(ウェイシン)での支払いができませんけど、いいですか」

 微信(英語名WeChat)とは、中国で8億人以上が利用するスマートフォンの交流アプリ。メッセージや写真の交換に加え、最近は各種の決済に使われる場面が急増している。

 多くの人は銀行口座と連結している。スマホで店のQRコードを読み取り、金額を打ち込んでボタンを押すだけ。サインなどは必要ない。友人同士で送金できるので飲み会の割り勘も簡単。街の物売りでさえ、QRコードを備える。

 「現金派」を自称していた友人の会社員男性も、今年から利用するようになった。「使わないと逆に不便になってきた。中国人でもついていくのが大変です」。山東省ではQRコードを首にぶら下げ、スマホを通じて施しを求める物乞いが出現し、話題になった。

 ガラケーを飛び越してスマホが普及したように、あっという間に浸透するのが中国社会。公表データによると、2016年のスマホ決済額は、38兆元(約620兆円)に上るという。もはや、現金が使われるのは腐敗官僚の賄賂ぐらいか。

 なぜ、ここまで受け入れられたのだろう。「スマホだと偽札の心配をしなくていいでしょ」と北京の飲食店経営者。なるほど、それは客にとっても同様だ。

 盛んなインターネット通販も含め、何億人もの消費動向が日々、ネットを通じて記録されていることになる。個人情報の保護がやや心配だが、膨大な蓄積情報に基づき、新たなビジネスが誕生するのも中国かもしれない。 (北京・相本康一)

 =随時掲載

=2017/06/20付 西日本新聞朝刊=

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