「教科書と重み違う」 福岡県筑紫野市・二日市中が劇 

創作劇のリハーサルをする二日市中の生徒=1日、福岡県筑紫野市
創作劇のリハーサルをする二日市中の生徒=1日、福岡県筑紫野市
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 広島、長崎に原爆が投下された8月6、9日を夏休みの登校日とし、平和学習を行う小中学校が福岡県で減っている。そんな中、筑紫野市の二日市中は8月6日を登校日とし、生徒が脚本を書き、演じる平和劇の上演を続けている。原爆投下の日に戦争と平和について考える意味とは何か。平和学習の今を探った。

原爆の日の授業減る今こそ

 「戦争は罪のない人が亡くなって、当たり前のことが当たり前でなくなるとよ」。夏休みの早朝、劇のリハーサルをする生徒の声が体育館中に響いた。

 2008年から続く8月6日の平和劇。これまでに広島、長崎の原爆や沖縄戦を扱ってきた。今年の舞台は、大規模な空襲を受けた福岡県大刀洗町。特攻隊員として出征する息子を激励し、送り出した母と妹たちが、戦死の知らせを受け絶望する。なぜあの時、戦地に送り出したのか-。戦後70年、今も消えない後悔を妹が現代の若者たちに語り継ぐストーリーだ。

 劇を作ったのは1~3年の有志73人。6月から準備を始め、実際に空襲にあった現地の人を取材し、空襲の跡にも出向いて脚本を書き上げた。「うまい演技のためでなく、思いを伝えるための努力をする」をモットーに夏休み中は毎日、朝7時から練習に汗を流す。

 実行委員長の岩村あおいさん(14)は「せりふを言う時、当時の人の気持ちを自分に置き換えて考えると、言葉にできない気持ちがこみ上げてくる。教科書で学ぶ平和とは感じるものが違います」と言う。

 福岡県教育委員会によると、今年8月6、9日のいずれかを登校日とする公立校は小学校318校(43・1%)、中学校142校(42・6%)にとどまる。

 県教職員組合によると、一時は約8割の学校で8月6日に平和学習を行っていたが、1997年、春日市で8月6日に登校中の女児が殺害される事件が起き、福岡地区を中心に登校日を減らす学校が増えたという。

 京都教育大の村上登司文教授(平和教育学)は「教職員組合の組織率が弱まったことに加え、若い先生の関心が下がっていることも一因だろう。子どもたちが過去の戦争を今につなげていけるよう、主体的な平和学習をしていくことが必要」と話している。

(本田彩子)

=2015/08/05付 西日本新聞朝刊=

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