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<57>覆面レスラー 得意技は「バリカタ」 笑喜屋(福岡県糸島市)

カメラを向けるとガッツポーズで応えてくれた河野友正さんと美沙さん。「ルチャをやって家族みんなで語れるものができました」。ルチャは「マスクと素顔を同時にさらすのもNG」。マスク姿は西日本新聞HPで
カメラを向けるとガッツポーズで応えてくれた河野友正さんと美沙さん。「ルチャをやって家族みんなで語れるものができました」。ルチャは「マスクと素顔を同時にさらすのもNG」。マスク姿は西日本新聞HPで
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福岡県糸島市高田5の24の8。ラーメン550円。釜玉ラーメン400円。午前11時半~深夜1時(土祝日は午前11時から)。日曜は午前11時~午後9時。不定休。092(322)9700。
福岡県糸島市高田5の24の8。ラーメン550円。釜玉ラーメン400円。午前11時半~深夜1時(土祝日は午前11時から)。日曜は午前11時~午後9時。不定休。092(322)9700。
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ルチャドールとしてリングに立つ河野さんの姿
ルチャドールとしてリングに立つ河野さんの姿
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 公務員ランナー、芥川賞作家の芸人、野球の世界では二刀流…。ジャンルや垣根を越えて活躍する人たちが増えてきたように思う。「笑喜屋(しょうきや)」(福岡県糸島市)の河野友正さん(39)もその一人。ラーメン店主のほか、「ルチャドール(戦う人)」と呼ばれるメキシコ式プロレス「ルチャ・リブレ」の覆面レスラーの顔を持つ。

 金髪で、172センチ、85キロという筋骨隆々のがっしりした体格。威圧感があるが、話すと物腰は柔らかい。「かなり人見知りなんです」。マスクを脱ぐと別人格のようだ。

 ラーメンの世界に飛び込んだのは「病弱で体重が50キロ台だった」という20歳の頃。糸島市の店で働き始め、約3年間社員としてスープ作りを学んだ。独立を志していたが、「本当に大丈夫か」と一歩を踏み出せない。「石橋をたたきすぎて壊しちゃう性格ですから」とはスタッフで妻の美沙さん(36)。退職後は、ラーメン店4軒を渡り歩き、期間工をやったり、造園会社でも働いた。

 転機は造園会社(福岡市早良区)近くに進出してきたラーメン店との出合い。博多区にある「味心」の支店(今は閉店)で食べたしょうゆ豚骨に衝撃を受けた。「初めての味。このラーメンを作りたい」。約1年間修業し、2009年6月に笑喜屋をオープンさせた。たどりついた一杯は、茶色がかったしょうゆ豚骨スープ。きりっとした元だれが引き立ちつつ、豚骨のうま味も追ってくる。麺のコシ、風味も心地よかった。

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 リングネームは「聖氣(しょうき)」。得意技は抱え上げた相手をリングにたたきつける「バリカタ」だ。「最初は『何やってるんだろう』と思っていた。でも試合が楽しいんです」。悪役ながら人気も上々。客からは「ラーメン食べに行くぞ」と優しいげきが飛ぶ。

 今では生活の一部となったルチャと関わり始めたのは5年ほど前。メキシコで活躍したルチャドール「磁雷矢(じらいや)」が、店の裏に教室を開き、長男(11)が通うようになってからだ。長男は習いたての技をかけてくるが、河野さんは受け方が分からない。「子どもがさびしい顔をするのが嫌で、私も始めたんです」

 毎日筋トレ、店休日は練習。試合当日は夜明け前にスープを仕込んで出発し、リングの積み込み、会場での設営、撤収もする。年々試合も増え、昨年はほぼ月1回で試合をこなした。「体はきつい。でもリングに上がるとすっきりする」と河野さん。美沙さんは「新メニューの考案など一歩踏み出せるようになった。大将が楽しんでいると、スープもおいしくなる」と相乗効果を実感する。

 「笑喜屋とルチャ。両方広めていきたい」。二足のわらじの生活は簡単ではない。ただ充実しているのは間違いないようだ。 (小川祥平)


=2017/04/20付 西日本新聞朝刊=

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