派閥の意地 自民分裂へ 福岡1区 新開氏 無所属で出馬意向 有権者不在の全面衝突

衆院選福岡1区の公認をめぐり揺れる自民党。立候補予定者の事務所は選挙準備に追われていた=30日夜、福岡市
衆院選福岡1区の公認をめぐり揺れる自民党。立候補予定者の事務所は選挙準備に追われていた=30日夜、福岡市
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 衆院選福岡1区をめぐる自民党の公認問題で、同党前職の新開裕司氏(46)=比例九州=は30日、無所属で立候補する意向を固めた。1区前職の井上貴博氏(52)も再選を目指しており、自民前職同士が戦う分裂選挙の公算が大きくなった。党本部は両氏とも公認せず、推薦とすることなどを検討している。

 新開氏はこの日、西日本新聞の取材に対し「(選挙区から)立候補する腹を固めた」と述べた。井上氏も「党本部の決定に従う。無所属でも戦う」と話した。前回衆院選で同党福岡県連は新開氏公認の方針を伝えたが、公示直前に党本部が井上氏を公認し、新開氏は比例に回った。

 1区にはほかに、民主党元職の山本剛正氏(42)、共産党新人の比江嶋俊和氏(67)、諸派新人の明石健太郎氏(42)、無所属新人の金出公子氏(67)が立候補を予定している。


 自民党の衆院選福岡1区をめぐる公認問題は30日、ヤマ場を迎えた。2年前の前回、比例に回った前職の新開裕司が小選挙区で出馬の意向を表明。前職の井上貴博も受けて立つ構えを見せ、自民分裂が濃厚となった。井上は副総理麻生太郎の派閥に身を置き、新開は元幹事長古賀誠がかつて率いた派閥所属。公示直前の攻防の裏で、政界の大物2人が意地をぶつけ合った。

 11月30日昼すぎ。「自民党同士で戦ってほしくない。あと数時間頑張ってみる」。調整に当たる党選対関係者は、こう漏らした。

 公示まで残り2日。小選挙区での出馬か、比例上位への処遇を求めて譲らない新開。旧古賀派を引き継いだ派閥領袖(りょうしゅう)で外相の岸田文雄も週末、決裂回避へ何度も電話を鳴らした。新開はしかし、首を縦に振らない。

 「生まれ育った博多で政治を語りたい」。新開は福岡市内の事務所で同夜、選挙区出馬を最終決断した。

 攻防は、衆院解散前から熱を帯びた。17日、同市内で開かれた新開の国政報告会。古賀は壇上で「一緒にいばらの道を選択せざるを得ないかもしれない」と援護射撃した。

 井上も引かない。1区は民主党の元環境相松本龍が小選挙区制導入から連続5期当選。前回、松本を下した井上にすれば「(民主の)牙城を崩したのは自分だ」。2年前は麻生の後ろ盾もあり、「新開公認」の県連方針が党本部で覆った。今回も手応えがあった。

 「分裂選挙はさせられない」(県連幹部)。24日、県連は結論を出せぬまま、党本部にげたを預けた。

 だが、事態は動かない。党側から新開を比例とする案を示された岸田は「当選できる順位でなければのめない」。県連幹部は、新開の意向確認に追われた。2年前の公認問題に関わったベテランは「古賀の存在があり、党本部は動けない」。

 麻生周辺は、2人が無所属で戦う主戦論をぶち上げた。「決着をつければ相手に次のチャンスはない」(井上周辺)。井上事務所は急きょ、「無所属」と印刷されたシールを発注した。

 前回、党総裁として井上公認の裁定を下した首相安倍晋三も29日、周辺にこう伝えるしかなかった。「無所属で勝負して、はっきりすればいい」

 12月1日、麻生は井上事務所を激励に訪れる。古賀周辺も「選挙になれば古賀軍団を1区に入れる」と息巻く。有権者不在の分裂劇。党公認の候補不在のまま、安倍政権2年の審判を仰ぐ選挙戦を迎えそうだ。 =敬称略

=2014/12/01付 西日本新聞朝刊=

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