愛犬とぼく、秘密の任務 優しさ満載の創作童話、全国2位 粕屋の清武君 賞品こども病院に贈る

JXTG童話賞で優秀賞を受賞した清武琳君と愛犬のチョコ
JXTG童話賞で優秀賞を受賞した清武琳君と愛犬のチョコ
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 愛犬の失敗をかばう少年の優しい思いが、病床の子どもたちへのプレゼントにつながった-。福岡県粕屋町の粕屋中央小3年の清武琳(りん)君(8)が、愛犬との実話を基に創作した童話が「第48回JXTG童話賞」(JXTGホールディングス主催)小学生以下の部で、全国からの応募1537作品中、2位に当たる優秀賞に選ばれた。清武君は賞品の図書カード5万円分を、福岡市立こども病院(東区)に寄贈する。

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 作文や読書が好きで、新聞の投稿欄に掲載された経験もある清武君。「琳の書いたお話が賞に選ばれて本になったらおばあちゃんが喜ぶよ」という母菊香さん(50)の一言が応募のきっかけだった。

 題材は、弟のようにかわいがっている愛犬チョコ(雄、2歳)との実話。昨年、チョコが家を飛び出して小学校の校舎に入る「事件」があった際、菊香さんが学校へ謝りに行ったことが記憶に残っていた。「チョコは悪くない。実は警察犬で、秘密の捜査のために家を飛び出したんだ」。弟分を悪者にしたくない一心で、思いついた空想だった。

 じつは、ぼくは、小学3年生のけいさつかんなのだ。

 警察官と警察犬のコンビという設定で「ヒミツのニンム」という童話に。チョコが校舎に入ったエピソードや、知らないおばあさんがチョコに話しかける場面…。一人称で短文をリズム良く重ね、「ヒミツ」を守ろうとする小学3年の「ぼく」を生き生きと描いた。

 チョコとコンビを組んで早2年、まだはん人はタイホしていない。この町に、わるい人はいないようだ(中略)もし、はん人がうちの前を通ったら、チョコを見てわらってしまって、「やっぱり、わるいことは、やめよう」と思うだろう。いつもねているようだが、チョコはちゃんと仕事をしているのだ。

 夕食後、1~2時間の作業を2週間続けて、締め切り前日に完成。童話作家ら選考委員から「読んでいてわくわくする」「小さな映画のように光景が目に浮かんだ」などと評価された。

 実は清武君の目標は最優秀賞だった。賞品の図書カード10万円分で百科事典を買いたかったが、優秀賞分では足りず、「こども病院に寄付したら?」と菊香さんが勧めた。清武君は生まれつき背骨が曲がる脊柱側彎(そくわん)症で、年に2回こども病院に手術入院している。「僕より長く入院している人もいる。たくさん読む本があった方がいいよね」。親子で話し、寄贈を決めた。

 次の入院は年明けの予定。「手術は嫌だけど、図書カードを持って行って使ってもらうのは楽しみ」。自分の童話が載った冊子も持参する予定で「たくさんの人がチョコの話を読んでくれたらうれしい」と期待している。(三重野諭)

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この記事は2017年12月19日付で、内容は当時のものです。

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