ランドセル負担軽く 東京の業者、低価格商品開発 「みんなが背負えるよう」

新たに販売を始めた2万5千円のランドセル(手前)を手にする「協和」の若松秀夫専務。身体障害者用のオーダーメード品(奥)も低価格で提供している=千葉県野田市
新たに販売を始めた2万5千円のランドセル(手前)を手にする「協和」の若松秀夫専務。身体障害者用のオーダーメード品(奥)も低価格で提供している=千葉県野田市
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 間もなく本格化するランドセル商戦。少子化を背景に近年の平均価格は4万円台と上昇傾向にあるが、東京の大手メーカー「協和」が、2万5千円の低価格商品を開発、近く販売を始める。きっかけは家計が苦しくてランドセルを買えない家庭があると訴える同社への1本の電話だった。メーカーが低価格商品を手掛けるのは珍しく、同社の若松秀夫専務(65)は「全ての子どもたちにランドセルを背負ってほしい」と強調する。

 ミシンや裁断機の音が絶え間なく響く協和の千葉製造工場(千葉県野田市)。従業員150人が200以上のパーツの多くを手作業で組み立てる。製造は年間約100種類20万個。主力商品は1個当たり4、5万円で販売されている。

 今回、低価格商品の販売に乗り出すことにしたのは2年前、同社にかかってきた電話がきっかけだ。同社は、東日本大震災など被災地の子どもたちにランドセルを贈る活動を続けているが、活動を知った長崎県の女性が「ランドセルを買えない家庭は被災地だけじゃない」と訴えた。近くに住むシングルマザーは病気を抱え、生活保護を受けながら子ども3人を育てており、ランドセルを買うお金の工面に苦慮しているという。

 「メーカーとしてこうした声に応えたい」。社員の熱意に経営陣も賛同、開発を進め「素材も規格も従来の製品に劣らず軽い」(同社)商品を作り上げた。新商品はコストを少しでも抑えるため、中間業者を介さない直売方式とし、社のホームページで申し込みを受ける受注生産限定にした。

 一般社団法人「日本鞄(かばん)協会ランドセル工業会」によると、ランドセルの平均価格は1970年に6千円。その後、価格は右肩上がりで2014年には4万2千円に達している。価格高騰に量販店などで安価な商品を製造、販売するケースはあるが、メーカーとしての取り組みは異例という。

 同社は今後、熊本地震の被災地にも無償寄贈の活動を広げる一方、経済的に困窮する家庭への支援も検討する。若松専務は「ランドセルは不平等なく、誰もが手に入れることができる学用品であるべきだ。被災地への寄贈とともに低価格商品の販売も息長く続けていきたい」と力を込める。協和=03(6891)3111。

=2016/07/10付 西日本新聞朝刊=

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