心のケア児童施設不足 対象者の13%県外に入所 九州7県 長距離通う家族も負担

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 発達障害、虐待などで感情や行動が不安定になり、情緒障害児短期治療施設(4月から児童心理治療施設)でのケアが必要とされた九州の121人(昨年3月末現在)のうち、13%が九州外を含む他県に入所していたことが、西日本新聞の取材で分かった。施設不足や、受けられるケアが限られることが主な理由。遠い距離を通って支える家族らの負担も重く、受け皿の充実が急がれる。

 同施設は心理療法や生活指導を通じた社会復帰を目的とし、全国に45カ所ある(昨年末現在、全国情緒障害児短期治療施設協議会調べ)。国は都道府県、政令市、児童相談所のある中核市に設置を求めるが、九州は6カ所にとどまり、佐賀県と3政令市は未整備。

 九州の各県や政令市によると、昨年3月末現在、県外の施設に入所する子どもは、福岡、佐賀、宮崎3県からが16人。受け入れ先は長崎、熊本、鹿児島各県などで、福岡市から岡山県の施設に入所した子もいる。

 「県外の方が近いケースもある」(宮崎県こども家庭課)一方で、施設によって医療の充実度や規模に差があり「定員に空きがあっても、学年や性別によって受け入れを断られる場合もある」(北九州市子ども総合センター)という。

 そもそも県に1カ所だけでは、同じ県内でも遠隔地から入所する子どもの負担は大きくなる。空白だった佐賀県は2018年の開設を決めているが、各施設は国や県の助成を受けて社会福祉法人などが運営しており、さらに数を増やすには行政の支援が欠かせない。子どもの心理ケアを専門とする医師など人材不足も課題とされる。

 同協議会事務局は「児童養護施設にも心理的ケアが必要な子が少なくない。特に人口の多い県や政令市では複数の施設の整備が必要だ」としている。

 【ワードBOX】児童心理治療施設

 虐待やいじめが原因で集団行動への不適応や自傷行為、言葉が出なくなるなどの心理的障害を来した子どもを短期入所や通所で受け入れる児童福祉施設。専門医や心理療法の担当職員が治療、支援する。情緒障害児短期治療施設と呼ばれてきたが、誤解や偏見につながるとの指摘から、4月に名称が変更される。

=2017/02/18付 西日本新聞朝刊=

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