子どもの医療ケア 格差解消 大分・養護施設、健康記録統一へ

共通用紙の作成に向けて意見を交わす児童養護施設の看護師たち=大分県別府市
共通用紙の作成に向けて意見を交わす児童養護施設の看護師たち=大分県別府市
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 大分県内の児童養護施設で働く看護師たちが、入所する子どもに医療ケアが行き届くよう、健康記録用紙の統一を進めている。虐待を受けるなどして保護された子は、病気や障害を伴っているケースが少なくない。だが、健康管理の方法は各施設に委ねられ、ケアに格差が生じている現状がある。識者は「看護師同士のノウハウが共有されることは、子どもの利益に直結する」と歓迎する。

 看護師考案、情報共有へ

 厚生労働省によると、児童養護施設の子の約6割は虐待を受けた経験があり、約3割に心身に障害があるという。大分県では2012年に各施設の看護師らが「連絡研修会」を結成。定期的に話し合う中で、子ども一人一人の健康記録を付けている施設とそうでない施設があり、服薬管理や通院指導など医療ケアで差があることが分かった。

 そこで同会は、健康に必要な情報を整理できる共通用紙を考案。看護師以外の職員にも一目で分かるよう、予防接種歴、既往歴、アレルギー、内服薬などの情報を一枚の紙にまとめた。

 県内では昨春時点で全9施設に317人が暮らしている。中には育児放棄を受けて母子手帳がなく、予防接種歴や定期健診の結果が分からない子もいるが、自治体は個人情報を理由に開示しない。同会は、児童相談所が子どもを保護する際、保護者から事情を聞き取るときなどに活用してもらうことも想定している。共通用紙は今春から7施設で活用される見込みという。

 一方、全国的には児童養護施設への看護師の配置そのものが進んでいない。昨年末で22・6%(全国児童養護施設協議会調査)。人材や公的助成の不足、施設側の意識などに課題がある中、大分県では全9施設のうち6施設が配置し、今春さらに1施設増える。

 東北大大学院の塩飽仁教授(小児看護学)は「児童養護施設が横の連携を持つこと自体、珍しい。子どもが施設を移るケースでもスムーズに申し送りできる」と評価。連絡研修会の楠元恵美子看護師は「大事な情報を漏れなく集め、健康維持に活用したい」と話している。

=2017/02/26付 西日本新聞朝刊=

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