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認知症施設で「子ども食堂」 利用者が運営、調理 埼玉「働いて地域に役立ちたい」

子ども食堂に提供する食事を作るデイサービスの利用者や職員たち
子ども食堂に提供する食事を作るデイサービスの利用者や職員たち
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 若年性認知症でデイサービス施設を利用している人たちが運営する「子ども食堂」が埼玉県にある。家庭の事情などで放課後の居場所がない子どもたちに無料で食事を出すとともに、施設利用者の社会参加を進める目的で、国も注目する全国的に珍しい取り組みだ。施設は「子ども食堂を運営することで、生きがいにつなげたい」と話す。

 「こんなにタマネギを切ったのは初めて」「今日は子どもたちが何人来るかしら」。調理場に利用者たちの笑い声が響く。メニューは牛丼と、ホウレン草のおひたし、大根の葉が入ったけんちん汁。40人分を用意した。

 施設は、同県三芳町社会福祉協議会が運営する「けやきの家」。高齢者のほか、若年性認知症の60~65歳の男女6人が利用している。

 子ども食堂を企画したのは、施設管理者で社会福祉士の内城(ないじょう)一人さん(44)。50代の若年性認知症の利用者から「働きたい。妻を守りたい」と言われたのがきっかけで、昨年4月から事業に取り掛かった。

 食堂は毎週金曜日の夕方に開く。まずは献立を決める打ち合わせ。記憶障害があるため、近況報告から始める。メニューを考えてもらい、自分たちで食料の買い出しへ。地域ボランティアの協力を受けながら、食事を作る。食事後は、子どもたちと卓球などをして触れ合う時間もある。

 メンバーの一人、宮崎県日向市出身の女性(64)は、介護福祉士の仕事をしていた58歳のとき、若年性認知症と診断された。「まだまだ働こうと思っていたのでショックだった。今は子ども食堂で人の役に立てることがうれしい」と言う。

 厚生労働省も事業に関心を示し、県外の福祉施設関係者の視察も多いという。内城さんは「働ける若年性認知症の人たちは、社会や地域に役立ちたい思いが強い。取り組みが子どもたちの救済につながっている」と話す。

=2017/10/22付 西日本新聞朝刊=

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