長く続く運営目指して 子ども食堂サミット 詳報

活動を報告する子ども食堂の関係者
活動を報告する子ども食堂の関係者
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 17日に福岡県春日市であった「広がれ、こども食堂の輪! 全国ツアーin福岡&九州サミット」(実行委員会主催、西日本新聞社共催)。温かい食事や居場所を提供する「子ども食堂」の関係者ら約270人が参加し、持続可能な運営を目指す上での課題などについて意見交換した。

 この中で基調講演した湯浅誠法政大教授は、貧困対策とともに地域づくりを活動の柱とするよう提言。三つの分科会では、西日本新聞社などが募った支援金を生かした活動事例や九州7県の実践報告を踏まえ、地域で緩やかなネットワークを築く大切さを確認し合った。議論を詳報する。

 ●地域のインフラにしたい

 ★基調講演 湯浅誠・法政大教授

 子ども食堂は、2016年7月の調査で全国に少なくとも319カ所あり、さらに増えている。利用者は年100万人規模となり、貧困家庭のかわいそうな子のためというイメージは薄らぎつつあるが、まだまだ「特別な場所」という印象が根強い。

 活動の柱は、地域づくりと貧困対策。いろんな大人が縦横斜めに関わるから、誰かが子どもたちの抱える課題に気付く。そうした場所が安心感を生み、地域の理解を進める。

 さらに輪を広げて、道路や水道のようなインフラとして、みんなが安心できる当たり前の場所を目指したい。「いろいろあっても支えてくれる人がいるから大丈夫」という地域や社会を、自分たちでつくるという自負と自覚と自信を持って進んでほしい。

 ★第1分科会

 ●地域の理解得ながら

 第1分科会では、福岡県内で運営に関わるメンバーらが開設の経緯や手順、運営のノウハウを紹介した。

 地域に親しまれる居場所となるには住民の理解が欠かせない。「奴国の里ふれあいこども食堂」(春日市)の松藤美由紀さんと宮崎泰三郎さんは、目標やビジョンをまとめた企画書を作り、学校や自治会、民生委員に説明して回った。宮崎さんはPTA会長で、その肩書も協力を得るのに役立ったという。

 開設場所については「いたきたこども食堂」(福岡市博多区)の朝日響さんが、地域に密着し、調理器具もそろう「公民館」が最適とした。行政区が主体となって運営する大野城市の穴井芳春市区長会長も「住民同士の交流や地域活性化につながる」と公民館のメリットを挙げた。

 ★第2分科会

 ●支える側も態勢整え

 第2分科会では、支える側のフードバンクや行政が活動を報告した。

 フードバンク福岡の雪田千春さんは、昨年7月にNPO法人化し食料を保管できる事務所を開くなど態勢を充実させている現状を紹介。2017年度の食品提供は58企業に上り、61施設と20個人に配ったという。ふくおか筑紫フードバンクの吉田まりえさんは、筑紫地区で18の子ども食堂が参加するネットワーク会議を立ち上げ「食品の安全な取り扱いなど課題を共有している」と説明。「つながり」の重要性を訴えた。

 活動を持続させるため、企業や財団の助成金を申請する方法もある。全国的にも珍しい「子ども食堂担当係長」である北九州市役所の長迫和宏さんは行政の立場から申請を手助けしていると報告した。

 ★第3分科会

 ●自分の将来のために

 第3分科会では食堂運営に携わる専門学校生や大学生から報告があり、運営の意義や課題を共有した。

 麻生医療福祉専門学校(福岡市)の生徒は、資金、学業との両立、衛生管理を課題に挙げた。学習支援と遊びを通した居場所づくりに挑む久留米大のサークル「ぽっくる」はクイズやゲームを通して生活習慣を身に付けさせるような工夫もしているという。

 筑紫女学園大の有志でつくる「LYKKE」は、大学生活や奨学金について説明する機会を設けている。浅野緑さん(21)は「私たち学生と接することで将来を想像してもらえれば」。准教授でサミット実行委員長の大西良さんによると、学生にとっても、社会の課題や自分の将来を見つめるための学ぶ機会になっているという。

=2018/03/24付 西日本新聞朝刊=

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