<19>仮性包茎は治療の必要なし

 〈自分は仮性包茎なのでかなり悩んでいたのですが、手術は必要ないと聞いて、本当に助かりました。世界が一変しました〉。私が学校でしている性教育の出前授業を聞いた高校生の感想です。

 亀頭と呼ばれるペニスの先端が包皮という皮膚で覆われた状態を包茎といいます。包皮を下げることができない真性包茎は、亀頭を露出できるように、包皮の治療が必要です。一方、普段は亀頭が完全に包皮に覆われていても、または、包皮の折り返しの位置が亀頭の途中にあり亀頭の先端しか見えなくても、包皮を下げようとすれば包皮がスムーズに移動して亀頭を露出できる場合は、仮性包茎です。英語で「ナチュラルペニス」。自然な状態なので治療の必要はありません。

 日本では、仮性包茎は恥ずかしいことで、女性に嫌われると誤解している人が多いようです。性器を診察するとき「ベッドに横になってパンツを下ろしてください」と促すと、まずパンツの中に手を入れて包皮を下げ、亀頭が露出したムケチン状態にしてからパンツを下ろす男性が少なくありません。このように大人でも気にしているのですから、思春期の男子が心配になるのは当然です。

 イスラム教やユダヤ教では宗教上の信条から、米国では慣習から、男児に包茎手術がされています。そのため仮性包茎の人が少ないのです。そうとは知らず、外国への憧れからか、ムケチンは男らしいというイメージができたのかもしれません。でもこういうわけですから、仮性包茎でも劣等感を抱く必要はないのです。

 トイレでは、包皮を指で少し下げて尿の出口が見えるようにして排尿しましょう。そうすれば狙った所に飛ばせます。お風呂では、根元の方に目いっぱい引き下げて、包皮の内側と亀頭をお湯で流して清潔に保ち、包皮を元のようにかぶせましょう。そうすれば女性に嫌われることはありません。

 高校生は感想の最後に〈保健の授業ではここまで掘り下げることはありませんでした。こういう話はとても重要だと思います〉と書いてくれていました。これからも性教育の出前授業を続けます。

 (泌尿器科医・池田稔)

=2019/02/11付 西日本新聞朝刊=

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