山笠ニュース

【連載】赤手拭(てのごい)動く 博多祇園山笠<1>筆頭 親子で台上がり

2009年06月21日 11:13
棒洗いで若手に指示をする筆頭赤手拭の小林和之さん
棒洗いで若手に指示をする筆頭赤手拭の小林和之さん
 晴れ舞台に胸は高鳴った。「オイサ、オイサ!」。福岡市博多区の対馬小路一区を大黒流の舁(か)き山笠が駆け抜ける。表の台上がりを町内では初めて親子で務めたのは、赤手拭(てのごい)の小林和之(42)=古賀市。「そろって台上がりができるなんて…。感動しました」

 2006年の流舁き。当時中学2年だった長男大地(16)との夢のような時間はあっという間に過ぎた。博多で生まれ育ち、山笠は生活の一部。だが、東京が本社の会社に就職後、社会人1年目を最後に足は遠のいた。

 大地が誕生した年の夏、妻直美(41)は大地を連れて博多へ。叔父に抱かれ祭りに出た。和之の血が騒ぎ始めた。福岡市に九州担当の営業所が設置されたことを機に博多に戻り、1987年、10年ぶりに復帰した。

 「ブランクに不安はあったが、温かく迎えてくれた。思うとった以上に先輩にかわいがってもらえた」。達筆を生かした立て札書きや準備作業などをこなし、評価を得て赤手拭に選ばれた。12年目の今年は当番町の筆頭。「赤手拭の集大成にしたい」と意気込む。

 7月1日の開幕へ気合が入る日々。懸ける思いが強い分、地域の課題にも目がいくようになった。転勤族が多い土地柄。町内にはワンルームマンションが次々と立ち並ぶ。昨年9月末の市の住民基本台帳によると、博多区は単身者が約5万9000世帯と7区でトップ。寄付のお願いに行っても入り口で締め出しを食らうことが多い。高齢者宅を訪れた時には「去年は5000円やったけど、今年は2000円でいいやろか」と頭を下げられた。

 祭りを支える地元住民の減少や高齢化に伴う疲弊…。課題が見え隠れする。「山笠は地元の祭り。地元が盛り上がってこそ盛り上がる。人の交流も大事」。対馬小路に住んではいないが、毎月1回の清掃活動など、地域活動にも積極的な和之。山笠の未来にも視線は向いている。 (敬称略)

 「博多祇園山笠」は今年も福博の夏を熱く彩る。祭りを動かす中核部隊が赤手拭たちだ。20―40代の働き盛り世代が中心。その素顔や取り巻く人々、祭りの舞台裏、地域の実情に迫った。

 ▼赤手拭 若手の中から祭りの貢献度だけでなく地域活動などを総合的に判断して選ばれる山笠の登竜門。赤一色の手拭を実際に身に着ける。流によって異なるが、序列は上から総務、運営責任者の取締、補佐役の衛生、赤手拭(以上が役員)、若手や一般。それぞれで手拭の色とデザインが変わる。


=2009/06/19付 西日本新聞朝刊=

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