大隣 奇跡の7球 難病乗り越え408日ぶり1軍登板

8回に登板、408日ぶりのマウンドを実感する大隣
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力投した大隣。1イニングを三者凡退に抑えた
力投した大隣。1イニングを三者凡退に抑えた
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 ■タカ連勝止まる
 
 難病を乗り越え、1軍マウンドに立った! 昨年6月に黄色靱帯(じんたい)骨化切除の手術を受けた大隣憲司投手(29)が、408日ぶりに1軍マウンドに帰ってきた。昨年5月31日の広島戦以来となる登板で、8回の1イニングを三者凡退。直球の最速も141キロをマークした。優子夫人ら周囲の支えに感謝した左腕は、今度は1軍での復活勝利に照準を合わせた。

 ■“引退”の不安も…

 足は震えなかった。難病を乗り越え、408日ぶりに臨んだ1軍マウンド。「ピッチャー、大隣」。8回。札幌ドームにコールが響いた。投球練習を終えると、ホームに背中を向け、左手で胸を押さえ目をつぶった。その間、5秒。「思い切りいこう」。自然と長くなったルーティンで、自分に言い聞かせた。

 初球。2ランを含む3安打の陽岱鋼に投じたのは、141キロの外角直球だった。2球で追い込み、3球目のチェンジアップを外角ギリギリに沈めて遊ゴロ。西川も二ゴロに仕留め、最後は村田を遊ゴロで上位打線を三者凡退。わずか7球、されど7球-。「ピッチャー大隣」が、本当の勝負の舞台に戻ってきた。

 「ブルペンでは緊張したけど、マウンドに上がると大丈夫だった。3人で終われてホッとしている」。昨秋のフェニックス・リーグでの術後初登板では「こんなに足が震えたことはなかった」と明かしたが、そこから半年以上をかけて一歩ずつ階段を上った。4万人を超す大観衆の前で、打者との対戦に集中できたのは、投手の「本能」も完全によみがえった証しだ。

 一度はマウンドに戻れないことも覚悟した。「脚に力が入らない…」。最初に異変を感じたのは昨年4月29日のロッテ戦だった。この試合で勝ち投手となり、その後も2試合に登板したが、違和感は収まらなかった。検査で黄色靱帯骨化症と診断され、数日間思い悩んだ末に手術を決断した。

 ■「先発で投げたい」

 背中にメスを入れ、背骨の一部を取り除いた。「もう投げられないかもしれない…」。麻酔で眠る前は、これ以上ない恐怖感に襲われた。「精神的にも、1人では絶対に耐えられなかった」。術後の2日間は寝たきりだったが、優子夫人の献身的な支えもあり、3日後には歩行器を使って自力でトイレにいった。一塁側スタンドで大粒の涙を流しながら見守った伴侶には、試合後「ありがとう」と電話を入れた。

 試合こそ敗れたが、秋山監督は「(大隣は)すんなり入れたんじゃないの」と、2年前に12勝を挙げた左腕の復帰を喜んだ。今後は、球宴後の先発ローテ入りを目指して調整予定。「まだ復帰しただけで、復活でも何でもない。先発として1球でも多く投げたい」。通算43勝を誇る左腕が間もなく「完全復活」する。 (倉成孝史)

=2014/07/14付 西日本スポーツ=

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