侍戦士を直撃【投手編】 ホークス武田、千賀

本紙評論家の斉藤和巳氏(左)と笑顔で対談する千賀(中央)と武田。千賀は対談中もずっとWBC公認球に触れていた
本紙評論家の斉藤和巳氏(左)と笑顔で対談する千賀(中央)と武田。千賀は対談中もずっとWBC公認球に触れていた
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WBCへの意気込みを色紙に記した(左から)千賀、武田
WBCへの意気込みを色紙に記した(左から)千賀、武田
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 頂点奪回-。3月の第4回WBCに出場する日本代表の千賀滉大投手(24)と武田翔太投手(23)が2大会ぶりの世界一に挑む。今回の「キーマンに聞く」では、侍ジャパンの小久保裕紀監督(45)とともに世界と戦う2人の投手を本紙評論家の斉藤和巳氏(39)が直撃。2人はWBC公認球への対応から日の丸を背負う思い、大会後のペナントレースに向けた調整などを本音で語った。

 斉藤 WBCに向けての調整は進んでいる?

 千賀 オフからずっとこのボール(WBC公認球)を触っていて、やっと慣れてきました。滑るけど、それを怖がってフォームが変わっていた自分に気付くことができた。ようやく7日の練習ぐらいから修正できてきました。

 斉藤 軌道修正できたってことか。武田は急に呼ばれた格好やね。

 武田 オフは小久保監督から両方(のボールで)準備していてほしい、と。ピッチングはWBCのボールでやっていました。

 斉藤 (1月24日の)メンバー発表のときには自分の名前がなかった。

 武田 切り替えていこうと思いました。ただ、もう一度連絡がきて「予備の1番手」と言われたので準備はしておこうと。大谷君の(右足首が良くない)話が出ていたし、あるのかなと思ってはいました。

 斉藤 キャンプが始まってすぐ(4日)招集が決まった。2、3日は日本のボールを使っていたわけだよね。

 千賀 自分はずっと圧をかけてました(笑)。「絶対おまえだから。おまえ選ばれるから、キャッチボールのボールを(WBC公認球に)替えとけ」って。

 武田 ボールを替えて記者の方に見つかるの、嫌ですから(笑)。

 斉藤 WBCのボールは触ってた?

 武田 (宮崎に)持って来てはいました。ただ、選ばれる前から使ってたら「なんやおまえ」ってなるでしょ(笑)。さすがに人前では投げられません。

 斉藤 そして、実際に声が掛かった。

 武田 やっぱりうれしかったです。千賀さんと「来ましたねぇ」って。

 斉藤 心強いね。同じチームから投手2人。しかも同じくらいの世代だし。

 千賀 (自分以外に)1人いるだけで違います。

 斉藤 いつ投げるかは言われてる?

 千賀 いえ全く。武田は先発で、自分は中継ぎ。言われたところで投げるだけです。

 斉藤 まあ、言われててもここでは言われへんよね(笑)。もちろんWBCは2人とも初出場になる。

 千賀 ずっとテレビで見ている側で、プロ野球選手として見たのは前回(2013年)大会だけ。06年も09年も学生だったので、見ているだけのイメージしかありません。

■和田さん黒田さん「やっぱり低め」と

 斉藤 アマチュアで国際大会の経験は?

 2人 ないです。

 武田 大会はプレミア12が初めてでした。

 斉藤 そういう俺も全くないんやけど(笑)。初めて違う国の代表選手に投げてみたときはどうだった?

 武田 日本とはやっぱり違う。パワーヒッターがそろってるなと。日本だと打たせて取っていけばいいと思えるけど、国際大会では三振かホームランぐらいの感じでいかないといけないイメージです。

 千賀 自分は前回(16年11月)の強化試合が(日本代表は)初めてでした。もっと感覚が変わってくるのかなと思ったら、普段戦っているパ・リーグの外国人選手に投げるのとそんなに変わらない。特別な感じはなかったです。

 斉藤 すんなり入っていけたんや。

 千賀 考えても仕方がないというか、相手のことはよく分からない。しっかり自分の球を投げることだけを考えていました。

 斉藤 本番では球数制限がある。

 武田 意識します。打たせて取ることを第一に考える。1球で仕留められたら仕留めたいですね。

 斉藤 2人とも日本でやっているピッチングとは変わってくるね。普段は空振り、三振を取るスタイルだけど、どう対応する?

 武田 和田さんや(元広島の)黒田さんに話を聞く機会があったんです。やっぱり低め。せっかくボールが動くんで、低めでボールを動かしたい。

■ボールで球種違う 武田ほんまに器用

 斉藤 新しい球種としてツーシームを投げ始めているということかな。

 武田 WBCのボールで投げるときはツーシームを使っています。

 斉藤 武田らしいな。ほんまに器用。国際大会用と日本用のボールで球種が違ってくるんや。千賀はできんやろう(笑)。

 千賀 できます。だって見てないでしょ(笑)。このボールなら自分でもできます。投げろと言われれば投げられます。

 斉藤 使えるなら試合でも使えば…。

 千賀 そう思うんですけど、試合で使う勇気がないんです。そんな、信用できないボールは…。武田みたいにヒュイっ、といいところに投げられればいいですけど。技量も気持ちもないし勇気がないです(笑)。

 武田 見せ球で使ってもいい。ツーシームがあると思わせるだけでも違いますからね。

 千賀 先発の球数制限と中継ぎの制限は違う。自分も先発の立場なら考えるけど、中継ぎなんで、真っすぐ、フォーク、フォーク。フォーク、フォーク!

 斉藤 中継ぎはそうなるね。無駄な球を投げられない。初球から勝負球。武田は日本でもツーシームを投げたらいいんじゃない?

 武田 曲がらないんですよ、日本のボールは。和巳さんも投げたら分かりますよ。

 千賀 そう。(外国人風に)イーズィー! イーズィーです(笑)。

 斉藤 そんなに変化するんや。どっちに曲がるか分かるの?

 千賀 分かります。こうしたら、こっちにヒュイって(笑)。動く球を投げたい人にはすごく楽しい。

 斉藤 だからメジャーに行った日本の投手は動かしたくなるんや。マエケン(前田=ドジャース)もそれ覚えるって言ってた。

 武田 勝手に動くから自分で動かさないと逆にコントロールしにくい。

 千賀 ここに真っすぐをと思っても、ボールが動くから案外制球できない。

■「小久保さん」って言ってしまいそう

 斉藤 だから動かすんやね。ところで、2人は小久保監督とは現役時代に一緒にプレーしてるんかな。

 2人 してます。

 武田 だから変な感じなんです。監督というよりホークスの先輩。監督に向かって「小久保さん」って言ってしまいそうになる。

 斉藤 「小久保さん」ならいいよ。でも監督って言わないといけないかな。

 千賀 普通に通路で小久保監督と話していて「コクさん」って言っちゃったことがあって…。言った後にハッとなって焦りました。

 斉藤 コクさんはやめようよ(笑)。その小久保監督を胴上げしないと。

 武田 優勝、世界一しかありません。

 千賀 みんなその思いで(23日からの)宮崎の合宿に集合する。そこには乗り遅れないようにしたい。

■“日本球界”だけでやれること見せる

 斉藤 今回はメジャーの選手が青木君だけ。しかも大谷君が出場しない。周囲に「今まで以上に厳しい戦い」といわれているし、そういう雑音が聞こえてくるからその重圧もある。

 千賀 日本球界の選手だけでもやれるんだというのを見せるいい機会です。

 斉藤 千賀が世界一で帰ってくるイメージができないなあ(笑)。

 千賀 和巳さん、このメダル持ったことありますか? ないでしょう。重たいなぁ…って、こんな感じで自慢しますから(笑)。

 斉藤 そうなったら(千賀の故郷、愛知県)蒲郡市民賞や(笑)。世界一からペナントレースに切り替えるのも簡単じゃない。今の時点でペナントレースのことは頭に入ってる?

 武田 調整する時間はないですよね。ただ、WBC球から日本のボールに慣れるのはそう難しくない。

 千賀 ボールはいけるとしか思ってません。調整時間の少なさとマウンドの違いに不安はありますけど。

 斉藤 不安は体と気持ちの部分だけだね。

 武田 WBC球を使い続けた後に出てくる体の張りですかね。日本の投手がメジャーに行って肘を故障しているし…。

 千賀 フォームのずれも絶対に出てくる。そこをどう修正するか。

 斉藤 過去のWBCで思い出のシーンはある?

 千賀 09年の(韓国代表から)マウンドに旗を立てられたシーン。あの大会、そういうことがあってのイチローさんの(韓国との決勝での)センター前とか。あのとき自分は高3に上がる前。一野球少年でも、日本が負けてめちゃめちゃ悔しかった。その気持ちを忘れずに入っていきたい。

 武田 自分もそこしか思い浮かびません。旗を立てられた屈辱。ただ、逆に立てようとは思わない。相手に敬意を払うのは小久保監督からも言われているし、当たり前のことだから。

 斉藤 国際大会の本当の緊張感を味わうのはこれから。帰ってきたら、また話を聞かせてください。特に裏話を(笑)。

 千賀 そういえば(昨秋の)強化試合のとき、松田さんが小久保監督に「熱男(ポーズ)はやるな」って言われてたのにやっちゃった。(巨人の)坂本さんたちから「何でやったんですか」って突っ込まれていました。その次の打席で(相手投手からぶつけられないように?)3足分ぐらい下がってたのが笑えました。

 武田 松田さんは「これが最後かも」って思わずやっちゃったらしいです。

 斉藤 そうそう、そういうの(笑)。頑張って! 世界一を期待しています。


 ◆世界野球WBSCプレミア12 WBSC(世界野球ソフトボール連盟)主催の国際大会。2015年11月に台湾と日本で初開催され、日本、韓国、台湾、米国、ドミニカ共和国、キューバ、カナダ、プエルトリコ、メキシコ、ベネズエラ、オランダ、イタリアが参加。日本はB組1位で1次ラウンドを通過したが準決勝で韓国に敗れ、3位決定戦は先発武田から菅野らへの継投でメキシコに勝利した。決勝で米国を破った韓国が優勝した。


 ◆2009年第2回WBCでの韓国戦 1、2次ラウンド(R)は敗者復活のある変則トーナメント「ダブルエリミネーション」方式。このため日本は全9試合中、韓国と5度も対戦した。1次Rは2回戦で大勝も1位決定戦で0-1。2位で進んだ2次Rの2回戦では1-4で敗れた。この試合で準決勝進出を決めた韓国は、06年の第1回大会同様にマウンドに太極旗を突き刺し波紋を呼んだ。日本は敗者復活から勝ち上がり、決勝で韓国と5度目の対決。3-3の延長10回にイチローが決勝の中前2点適時打を放ち大会連覇を達成した。松坂が2大会連続のMVPに輝いた。

=2017/02/11付 西日本スポーツ=

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