WBCの衝撃、内川「悪いこともいいことも覚えてない」 松田はリベンジ待った4年間 ロングインタビュー

「1ダホー」。笑顔でポーズを決める内川(左)と松田
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「日本魂」と書いた色紙を持つ松田
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同じく「芯」の色紙を持つ内川
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対談で互いの印象を語る内川(左)と松田
対談で互いの印象を語る内川(左)と松田
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 世界一奪回のキーワードは「芯」と「日本魂」! 3月の第4回WBCに出場する日本代表の内川聖一外野手(34)と松田宣浩内野手(33)が、大会本番を控えた心中を激白した。内川は3大会連続、松田は2大会連続出場で、2013年の第3回大会では準決勝敗退の悔しさも味わった。今回の「キーマンに聞く」では、侍ジャパンを引っ張る2人に心ゆくまで語り尽くしてもらった。 (構成=森淳、相島聡司)

 ■雪辱を待った4年間

 -WBCへ向けて、ざっくばらんに語ってもらいます! 互いの現在の姿はどう見える。

 松田 後輩が先攻でいいですか。内さんの持ってる技術は日本のトップ。特にWBCもあるんで例年以上に早いというか、一緒の打撃練習でも打球を捉える確率がすごいなというのをあらためて感じてます。

 -例年にも増して?

 松田 増してる! 絶対に打ち損じがないですもん。これはすごい。

 内川 相変わらず元気だなと(笑)。背番号も変わったし、ユニホームを着るのが楽しみだったんだろうなというのがすごく見える。マッチのいいところって、結果が出てなくても「そんなに打ってなかったっけ」と見せられるぐらいの表現の仕方。うらやましいなと思いますね。

 -内川選手も負けじと元気よくやっている。

 内川 でも、ばてるのが毎年早くなるなと感じている。マッチのような元気のよさがほしいなと思いながらやっていますけど。

 -WBCのメンバーに選ばれて感じたことは。

 内川 野手最年長になったか、というのが一番でしたね。(翌日に)青木さんが後から入られたんで、上から2番目になったんだけど、2009年は僕が(片岡らとともに)野手最年少だったんですよ。

 -松田選手は13年に続いて選出された。

 松田 第3回大会はイケイケで選んでもらって、悔しい準決勝敗退の場にも出させてもらった。選ばれたときはリベンジできるっていうか、それはこの4年間心のどこかにあった。毎年成績を残さないと、選ばれる権利もなかったと思うし、地道にやってきてよかった。必死に頑張ります。

 ■衝撃的で覚えてない

 -第3回大会の準決勝は3点を追う8回の攻撃がクローズアップされた。先頭打者は松田選手だった。

 松田 まずいな、という感じで終盤を迎えた記憶があります。遊ゴロ? 覚えてます。

 内川 (7回の)2ランで0-3になってやばいなっていうところと(6回の)スリーベース、(8回に)井端さんが一塁走者で何とかつなごうと思って打ったヒットと、ダブルスチールの場面しか覚えてない。

 -全部は覚えていない。

 内川 印象的な部分以外は全く覚えてない。状況とか、誰がどうとか覚えてないぐらい衝撃的だった。その一瞬で全部飛んでる感じです。ただ、09年の決勝もそう。悪いことだからというわけじゃなくて、(優勝した)09年のいいこともほとんど覚えていない。

 -8回の内川選手の走塁死はどう感じていた。

 松田 (走者が)内さんと井端さんだったんですけど、期間の短いチームだから出たことだと思う。あの状況になれば、誰もが失敗してたんだろうと思う。

 -4年後にやり返したい思いは共通していた。

 内川 やり返したいというよりも、悔いが残る部分を、4年後にもう一回侍ジャパンとして戦わせてもらえるような選手になりたいと思っていた。それは、あのプレーがあったからどうとかということではないのかもしれない。取り返すとかどうとかは、個人的なこと。優勝すれば晴れることはいっぱいある。

 -侍ジャパンというチームで互いをどう見る。

 松田 僕も内さんも基本的にホークスと同じような感じやと思ってます。2人はいつもホークスでやってることを、侍ジャパンでもやってると思います。

 -内川選手は。

 内川 やってるよ。ただ、自分は場に溶け込むまでは意外と気を使う人間だから(笑)。マッチのキャラクターは日本の野球界のみんなが知っている。その場の空気をつくり上げるのは天才だなと思いますね。

 -侍ジャパンでも普段と同じ姿が出せている。

 内川 日の丸を付けているし、乗りを分かってくれなかったらやだなとか。そこは人間だから、葛藤はあったと思いますよ。

 -変わったのは。

 松田 (14年の)日米野球に選ばれたころかな。

 内川 世代が変わってきて、マッチが引っ張る年になってきてからは色を出していると思いますね。

 -昨秋の強化試合で「熱男」をやったんだよね。

 内川 やっちゃったの?

 松田 やりました。でも(本大会では)敬意を表さないと。

 内川 本大会の難しさは日本だけの文化ではないこと。ただ、やらないからマッチがおとなしいというわけではなくて、世界の常識を捉えた上でやる難しさがあるだけの話だと思う。

 -WBCではチームのためにどんな働きをしたい。

 内川 スタメンで出るのと、後からいくのは役割が違うところが絶対にあるので。スタメンじゃないときも「こっちもいつでも戦っているからな」という姿勢を見せるだけで(グラウンドの)中の人は勇気を持ってくれると思う。

 -内川選手はチームで常時出場しているが、代表では頭を切り替えている。

 内川 代表っていうのはそういうものじゃないですか。侍ジャパンは日本のプロ野球選手の代表ではなくて、小さい子どもからお年寄りまで野球に携わる全ての人の代表。そこで戦うということは普通にやるのとは違う。そういう気持ちにならないと戦えない。

 -松田選手は。

 松田 負けたら何にもならないと思うんで、勝利という結果をしっかり出していきたい。

 -前回と今回で気持ちの違いはある。

 松田 前回経験した選手が内さんを含めて5人いて、僕もその一人なので責任感は増している。前回は初めてだったし、わくわくしてるぐらいの感覚。今回は年齢も上から3番目なんで、勝つために、青木さんと内川さんの後ろについて頑張っていきたい。

 ■内川 他国の情報最小限で

 -他国の出場メンバーを見たりすることは。

 松田 僕は見ますよ。投手は分からんすけど、打者はほんまメジャーリーガーがすごいね、と思います。

 内川 マッチは何でも知ってる。メジャーがどうとかじゃなくて、プロ野球でも何でも知っているから。好きなんだろうね。俺はやる前に分かればいいかな。

 松田 知識が欲しい!

 -詳しいもんね。

 松田 大卒(笑)

 内川 いいかげんにしろよ。大卒って言われると何も言えなくなっちゃうよ。

 松田 今の(大卒発言)は却下で。

 内川 全然いいよ(笑)

 -2人はタイプが違う。

 内川 そうだね。マッチはおおざっぱに見えて意外と細かい。自分のやることをきっちりやっていくタイプ。僕は出たとこで勝負したいタイプなんですよ。自分で感じたものや雰囲気を、自分の持っているものと照らし合わせて「じゃあ、こうしてやろうか」ってやりたいタイプ。

 松田 今の感覚。それですよ、絶対。

 内川 僕はその場の雰囲気を全部捉えた上で決めたい。だからそこに行き着く前にいろんな心配事みたいなことをつくりたくないわけですよ。世界大会を戦う上で、投手の特徴とか多少の情報は必要だと思いますけど、僕は必要最小限でいいと思っているタイプ。

 -松田選手は頭に入れておきたいタイプ。

 松田 僕はそうです。こう見えて(笑)、ハイ。

 内川 だから、自分の思うようにならないと「おかしいな」と感じるタイプだと思うんですよ。

 松田 そうそうそう!

 -はまるときがある。

 松田 僕はありますよ。

 内川 僕もいろいろ考えるけど、それが解決できなくても次の日は試合をやらなくちゃいけない。「しょうがない、やったるか」というところに自分の気持ちを持っていけるのが僕の強みかもしれない。

 -国際大会の短期決戦はそういう部分も大事。

 内川 僕はCSとかけっこう打ってると思うんですけど、意外と楽なんですよ。できるか、駄目かのどっちかで「もう行ってしまえ」と思う。ただ、13年のダブルスチールで「それだけじゃいけないんだよ」と教えてもらったところはあるかもしれません。もう一つ冷静に考えるところが必要かなって。

 松田 CSは短期決戦で国際大会に近いものがあるし、143試合のシーズンとは絶対違う。(3本塁打した)昨年のCSのような雰囲気で入っていけばいいかな、と思いますけどね。

 -小久保監督のキャンプ視察では何かメッセージがあった。

 内川 僕は「ホークスと変わらないようにやってくれ」って言われました。ホークスでやっていることを小久保監督に認めてもらっていると思う。マッチとの声の掛け合いみたいなものを代表でも、っていうところもあるだろうし、他の選手も巻き込んで元気のいいところを出せればいい。

 -掛け合いをできる人がいればテンポも出る。

 松田 それは大事だと思いますよ。逆にそれがないと、(小久保監督は)安心されないと思いますよ。

 ■松田 全力で頑張ります!

 -最後に世界一奪回に必要なことを色紙に。

 松田 「日本魂」。日本の代表として日本の魂を背負って、国民のみなさんのパワーをもらってね、期待に応えられるように全力で頑張ります。

 内川 僕は「芯」。侍ジャパンとしてWBCに臨むのは相当な覚悟を持ってやらなきゃいけない、自分の中で芯が通ったものを持ってプレーしたい。しっかりした芯がないと、しっかりした枝葉は付かないと思うんで。そこに自分がなるのかは別問題として、普段一緒にやっていない仲間だからこそ、芯の部分をしっかりつくっていかないと。

 -互いに「これだけは期待したい」というものは。

 内川 空気感が変わらないってことかな。選手個人の中では空気感っていうのは必ず変わるんですよ。国際大会はより一層結果を残さないといけないから。でも、それを感じさせないくらいのマッチの空気感というか、ホークスで叫んで出ていくぐらいのね。

 松田 日本球界でやってる中では最年長なんで、リーダーになってほしいですね。あとはバットを持ったらすごいんで、どこにでもヒットを打ってください。僕はベンチで喜んでますから。内さんは外国の投手でも関係ない。そういうのが、日本代表が勝つための要素だと思っている。

 -内川選手は情報が少なくても関係ない。

 松田 そう。さっき言われた通り、自分の技術と雰囲気、空気で結果を出されてるんで。それが国際大会では一番強いんだな、とあらためて感じる。そういった存在になってくれるように、ベンチで叫んでます。

 ◆2人のWBC

 【09年第2回大会】内川は全9試合中6試合に出場。18打数6安打で打率3割3分3厘、1本塁打、4打点の活躍で日本の連覇に貢献した。舞台を米国に移した韓国との2次ラウンド1組1位決定戦ではチームの「米国1号」でもある同点弾を放った。

 【13年第3回大会】内川は主に3番で6試合に出場。23打数8安打で打率3割4分8厘、1本塁打、4打点をマークした。準決勝のプエルトリコ戦、2点差に追い上げた8回に痛恨の走塁死。「自分のプレーで終わらせてしまった」と涙を流した。松田は主に「9番三塁」で7試合に出場し、21打数7安打で打率3割3分3厘、1本塁打、5打点と活躍した。

=2017/02/21付 西日本スポーツ=

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