独走Vホークス球団社長を直撃【1】ドラフト多数指名と前提にあるポリシー

優勝を決めたメットライフドームのグラウンドで選手をねぎらう後藤球団社長
優勝を決めたメットライフドームのグラウンドで選手をねぎらう後藤球団社長
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甲斐(左)とタッチを交わす千賀
甲斐(左)とタッチを交わす千賀
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 ソフトバンクが2年前に打ち立てたパ・リーグ記録を1日更新し、最も早い日付となる9月16日に優勝を決めた。選手の育成と補強がともに機能。後藤芳光球団社長兼オーナー代行(54)が西日本スポーツの単独インタビューに応じ、球団の戦略を語った。3回にわたってお送りする。

 -急速にマジックを消化した。

 「僕らも優勝マジックが出てから、最短優勝日とは別に、理論値の優勝予想日を算出したが、全く変わらなかった(笑)。野球には止められない勢いがある。ファンの方には今度は、史上初の100勝を目指すチームをぜひ応援してほしい」

 -今季は若手が活躍し、主力の離脱もカバーした。若手が育つ土壌とは。

 「ここはこだわりがある。ウチは3軍を持っている。米国の野球のシステムって、メジャーを1軍としたら8軍まである。日本の野球で3軍というと急に落ちる気がするが、米国でいえば2A。それに値する若手選手をどんどん入れていきたい。チームの体質として、どんどんそこから上に上がってくるシステムになれば。チームに所属する選手みんながそういう思いでやることが大事。そうすると、やっぱり高校生をできるだけ取りたいという方向は、今後も変わらない」

 -2011年から3軍制へ移行した。

 「効果はあると思いながらも未知数だったが、ここまでとは思わなかった。20代の選手がレギュラーにどんどん出てくるような仕組みをつくらなきゃいけない。機能させるにはフロントと監督の間で、あるべきチーム像が議論されることが大事。上林にしたって、出てきた初年度、いきなりレギュラーに値する成績は出ない。いろんな壁に当たり、2軍で悩んだりしながら、今、ポジションを取っている。今宮、柳田も1年目から大ブレークしたわけじゃない。中村晃だってそう。監督にチームの2年先、3年先、5年先を見てほしいから、フロントと監督のコミュニケーションはすごく大事だと思う。工藤監督について言えば、われわれとすごくコミュニケーションを取ってくれる。感謝している」

 -現場とフロントのビジョン共有が重要だ。

 「中長期でチームを見る忍耐力を含め、監督が見てくれさえすれば、今度はそこに選手を供給するシステムの問題。大学も社会人も否定しないが、3軍であれば自分たちが直接、見られる。手塩にかけて育てられる方が、より選手のことも分かる」

 -実際にドラフトで高校生の指名が多い。直近3年の内訳は高校生13人、大学生2人だ。

 「大学で4年を過ごしてプロで苦しむ選手もいる。高校で出来上がった選手がプロの厳しさを知るか、大学野球の中で勝つか。僕らは3軍のシステム、教育、筑後も含めて、12球団一の準備をしていることを、スカウト陣にもよくアピールしてもらって。高校生の素晴らしい素材にどんどん入ってきてもらって、徹底的に面倒を見る」

 -育成も含め毎年ドラフトで10人前後を指名している。

 「全員がレギュラーになれるわけじゃない。僕らには若い選手を預かった、すごく重たい責任がある。毎年、自由契約を出さざるを得ない。その選手たちには必ずソフトバンクグループ企業からオファーを出す。グループ全体で、われわれとして、でき得る限りの預かる責任を、形でちゃんと示したい。育成選手にも、みんな」
 
 -その方針はいつごろからか。

 「(2013年に)僕が社長になる前からこのシステムはあった。ただ、自由契約の選手に『もし良かったらどう?』という感じだった。それじゃダメだと。『ウチに来い』と選手を口説きなさいと。人事担当者のつもりで。現実には、それでも来ない。でも、そこまでしないと責任を果たしたことにはならないと思う。だいたい自由契約になる選手の皆さん、おっしゃることは一緒。『野球しかやってないから会社員みたいなことはできないです』『自分はそんなところでできません』と。ものすごく自分を卑下する」

 -一般企業に勤めるイメージが難しい。

 「僕らからすると『何考えてんだ』と。いい意味で。厳しい練習に耐え、自分で目標を設定し、クリアして、野球というチームマネジメントも学んで、ドラフトで入れて。ドラフトで選ばれる時点で、間違いなく東大に入るより難しい」

 -企業が求める人材として評価している。

 「課題設定と、それをやりきる力。ビジネスと全く一緒。来てくれさえすれば、そういう人は必ず成功できる…と、思うが、来たがらない選手は、やっぱり知らないことが多い。そこをちゃんと親身になって説明して、分かってもらって、引っ張る。何であなたが必要とされてるか。真剣に引っ張ってあげないと。最後に判断するのは本人。そこまでやっても来てくれなければ残念だが、そこで聞いた話を、次がどんな仕事でも、覚えてくれていると思う。やっぱり最後に、できる限りのサポートを、ベストを尽くしてあげたい。そこまで考えてあげたい。一度のドラフトで高校生を7、8人取るっていうことは、特にそこの辺の責任が問題」

 -特に育成は指名される側に不安もある。

 「選手には、選択肢の一つとして捉えてもらう。例えばご家族にも『育成で取るんじゃなくてソフトバンクグループで取るんですよ』と。僕らの球団の強みとして常にアピールしてる。これは別に誇大広告じゃない。スカウトにもちゃんとそこを説明してもらっている。あとは球団統括。いつも厳しいことばっかり言っているが、そこは特に厳しく言っている。意をくんでくれて、彼らもしっかりやっている。そうすると、思い切って多くの高校生を指名できる。社会人で2、3年やるより、大学で4年やるより、野球を極めるなら『ソフトバンク大学』に入ったつもりでやれよと。

それで上林も出てきたわけだし。甲斐も出てきた。もちろん千賀も…千賀なんて誰も育成なんて思わない、堂々としたもんだけど(笑)」

 -3月のWBCでは日本代表としてベストナインに選出される活躍。育成出身とは思えない。

 「日本には千賀みたいな人がたくさんいるはず。ソフトバンクだから、孫オーナーからは、12球団一、データを活用できなきゃいけない、と。AI(人工知能)も活用できてなきゃいけない。ルールで認められてないけど、本当はダグアウトにPepper(ペッパー、ソフトバンクグループが開発した人型ロボット)なんかいたら面白いと思うんだが(笑)」

 -育成選手獲得の際のポリシーなどはあるか。

 「スカウトチームに信託し、権限委譲している。スカウトの中で喧々囂々(けんけんごうごう)の議論をしている。僕がその手の会議に出るのはシーズン半ばから。月1で、じっくりみんなの話を聞く。チームで年間に取れる人数には当然、限りがある。おまえのところの選手より、うちの選手の方がいいだろう…と議論しながら、まとめていく。スカウトの腕の見せどころはドラフト2位以下と、それから育成。育成のところは、各スカウトのこだわりを僕らもリスペクトしたい。『こいつだけは何としても入れたい』とか。極力、スカウトの熱意を買ってあげるようにしている」

 -今秋ドラフトの方針については。

 「今年は、ドラフト1位候補はある程度、絞られている。まあ…誰にするか。最後の最後までスカウト陣と、王(球団会長)さんと話をする」

 (2に続く)

=2017/09/17 西日本スポーツ=

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