ホークスのプレーオフ・CS〈2〉悲運のエース 沢村賞2度の右腕が5戦全敗

日本ハムとのプレーオフ第2ステージの9回、稲葉にサヨナラ内野安打を浴び、うなだれる斉藤和=札幌ドーム、2006年10月12日
日本ハムとのプレーオフ第2ステージの9回、稲葉にサヨナラ内野安打を浴び、うなだれる斉藤和=札幌ドーム、2006年10月12日
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斉藤和(左から2人目)のもとへ集まる小久保(背番号9)らソフトバンク内野陣=千葉マリン、2007年10月8日
斉藤和(左から2人目)のもとへ集まる小久保(背番号9)らソフトバンク内野陣=千葉マリン、2007年10月8日
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 【ソフトバンクのプレーオフ・CS〈2〉】

 2004年から導入されたパ・リーグのプレーオフでは、同年のダイエー、翌05年のソフトバンクと、2年続けてレギュラーシーズン勝率1位球団が敗退し、リーグ優勝と日本シリーズを逃していた。レギュラーシーズンで5ゲーム差をつけていれば1勝のアドバンテージを得られるところが、2年とも4.5差。ソフトバンクはオフのパ・リーグ理事会で制度の見直しを訴え、翌06年は勝率1位球団へ、無条件で1勝のアドバンテージが与えられることになった。

 ところが、この制度変更は追い風とならない。

 3月の第1回WBCで日本代表を率い、初代世界一に輝いた王監督に7月、胃がんが見つかる。手術による休養期間を、森脇チーフコーチが監督代行として預かり、首位を争ったが9月に失速した。レギュラーシーズン勝率1位は日本ハム。4月の引退表明に端を発した「新庄劇場」も推進力に、最後は2位西武を1ゲーム差で振り切った。3位のソフトバンクは日本ハムまで「4.5」差。前年までなら、アドバンテージを消す点で意味を持つ数字だった。

 初めての第1ステージ、初めての敵地プレーオフ。第1戦で松坂に完封されたが、終わらない。第2戦は過去2年のプレーオフで辛酸をなめた4番松中が3ランを含む3安打5打点で、涙のヒーローインタビュー。第3戦は5番ズレータが決勝3ラン、プロ未勝利だったルーキー柳瀬が第2戦から救援で2連勝と、ラッキーボーイも現れた。初めての「ステージ突破」。翌年、海を渡る松坂に、花は持たせなかった。

 もっとも、札幌に乗り込んだナインは、新制度の高い壁に直面する。3勝制の第2ステージ。勝率1位の日本ハムには1勝のアドバンテージがあり、ソフトバンクには1敗しか許されない。その代わり、過去2年と異なり、第3戦以降の興行権が与えられていた。一つでも勝って福岡へ戻る。そんな願いは、第1戦でダルビッシュに1失点完投を許し、風前のともしびとなる。迎えた第2戦でチームの命運を託されたのが斉藤和だった。

       ◇       ◇

 レギュラーシーズン18勝、防御率1.75、205奪三振、勝率.783でタイトルを総なめ。西武との第1ステージ第1戦で敗れはしたが、1失点で完投していた。そこから中4日での登板。右肩に爆弾を抱えるエースにとって6年ぶりの勝負手だった。

 投げ合った八木は、4月に延長12回継投ノーヒットノーランを許した際、10回を封じられたチームの天敵左腕。0‐0のまま迎えた9回、斉藤和は先頭打者の森本に四球を与える。田中賢の犠打で1死二塁。小笠原との勝負は避け、2死から5番稲葉と勝負。カウント1ボールから、127球目のフォークだった。

 中前に抜けそうな当たりに二塁仲沢が追い付く。二塁ベースカバーに入った遊撃川崎へ懸命にトスしたが、ややそれて判定はセーフ。その間、二塁ランナーの森本が三塁を回っていた。起き上がった川崎の本塁送球は間に合わず、サヨナラ。歓喜の輪の傍ら、片膝でしゃがみこむ斉藤和がいた。おえつしながらズレータ、カブレラの両外国人に両脇を抱えられ、ベンチ裏へ退いた。

 パ・リーグでの興行的成功から、翌07年からプレーオフはセ・リーグでも導入に至り、名称はクライマックスシリーズ(CS)と変えて両リーグで行われるようになる。制度も変わり、レギュラーシーズン勝率1位が優勝。同年に限り、優勝チームに1勝のアドバンテージはなかった。ソフトバンクはダイエー時代に巨人へ無償トレードした小久保がFAで戻っていたが、3位止まり。日本ハムにリーグ連覇を許した。

 右肩の不調に悩まされていた斉藤和は12試合登板にとどまった。2位ロッテとのCS第1ステージ第1戦に先発も、援護を生かせず、4回5失点で黒星。チームも結局、1勝2敗で敗退する。沢村賞2度の右腕が、プレーオフ、CS通算5試合に投げ5敗。翌08年春、右肩に2度目のメスを入れた悲運のエースにとって、これが最後の1軍マウンドだった。(つづく)

=2017/10/10 西日本スポーツ=

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