ソフトBサヨナラ日本一 内川9回同点弾 サファテ男気3イニングMVP

延長11回2死一、二塁、川島が右前にサヨナラ打を放ち歓喜するホークスナイン
延長11回2死一、二塁、川島が右前にサヨナラ打を放ち歓喜するホークスナイン
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11回を投げ終え、ファンをあおるサファテ
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 福岡ソフトバンクが劇的な結末で頂点に立った。ヤフオクドームに戻っての日本シリーズ第6戦、延長11回に川島がサヨナラ打。DeNAを下し、4勝2敗で2年ぶり8度目(南海、ダイエー時代を含む)の優勝を果たした。サヨナラでの決定は1988年の西武以来で4度目。就任3年で2度目の栄冠をつかんだ工藤公康監督(54)は、監督として初めて本拠地で「日本一の舞い」に酔いしれた。

 大粒の涙をこぼしながら、工藤監督が頼もしい選手らの手に包まれた。2年前は敵地での胴上げ。日本一監督として、初めてヤフオクドームで7度舞った。

 「苦しかったです。勝たなきゃいけない負けられないという中で、本当、選手たちが実力以上の力を出してくれて、本当に強いホークスをこのヤフオクでファンの前で見せてくれたこと、僕は何よりも幸せです」

 選手で14度、監督で2度。自身通算16度目のシリーズで、横浜を舞台に戦ったのは初めてだった。「大好きな街」に、今も自宅を構える。西武黄金期を支え、ダイエー、巨人を渡り歩いた優勝請負人も、横浜に栄光の記憶はない。既に215勝を挙げていた2007年1月。FA移籍した選手の人的補償で巨人から横浜(当時)に移籍した。

 「43歳のおじさんをプロテクトしないのは普通だよ」。それまで三顧の礼で各球団に迎えられていた左腕は、恨み節も漏らさず新天地へ向かった。1年目は7勝。ただ25年以上酷使した肘と肩の痛みは、20代前半から服用し続けた痛み止めの錠剤では隠せなかった。2年目は登板3試合。3年目の09年には、シーズン初先発後に首脳陣から中継ぎ転向を言い渡された。

 若返りを図る球団方針を理解し、46歳は45試合に救援登板した。「あの時に中継ぎの大変さも分かったから」。今季の覇権奪回は強力な救援陣が支えた。長所であり生命線。酷使は避けられなかった。次善の策はマウンド以前。投手コーチと綿密に球数の管理を行い、ブルペンでの投球数を最小限に減らした。

 同年オフ、横浜で人生初の戦力外通告を受けた。2年後。新規参入したDeNAから初代監督として就任要請された。受諾に前向きな姿勢だった。だが、破談した。自ら多くは語らない。球団側とコーチ人事などで折り合いがつかなかったことが原因とも報道されたが、本人が最もこだわっていたのはトレーナー、コンディショニングコーチらを増員させ故障防止に注力することだった。その年に現役も引退。新たな一歩を踏み出すため、解説や講演の仕事には電車を利用することを決めた。自宅近くのJR駅で買った名前入りのSuica(スイカ)は、今でも大事に財布にしまってある。

 ホークスの監督就任後もまず、故障防止を最重要課題として掲げ、いまでも時に口酸っぱく諭し、時に鋭い視線を光らせる。それだけ力を注いでも、試合中の防ぎようのないケガも含め開幕から投打で主力に故障離脱者が出た。ただ、3年間の努力のたまものか、今シリーズには投打で主力がそろった。「初めて(シリーズを)フルメンバーで戦える」。開幕前日には日本一を確信しているように、不敵な笑みを見せた。

 自信通り、強さを示した。シリーズ前にラミレス監督は「ソフトバンクが戦ってきた膨大なデータを分析して準備したい」とコメント。球界はデータ分析が全盛ともいえる時代。特にシーズンでは読み合いで敵の上をいく策も必要になる。日本ハムに最大11・5ゲーム差を逆転された昨季は最終的に2・5差でV逸。優勝を左右する一戦、ここぞのワンプレーのために、昨秋から作戦面の準備も念入りに進めてきた。

 「1カ月おきに作戦の傾向を変えていく」「言い方は悪いけど、時には味方をだますくらいの作戦も必要」。リーグV決定後には、3点ビハインドからスクイズを仕掛けるなど「まき餌」を散らし、シーズンをかけて布石を打ってきた。ただ「策」よりもっと大事なものがあることも、指揮官は分かっていた。

 クライマックスシリーズでまさかの連敗スタートを喫し、負ければ楽天に王手をかけられる第3戦の試合前。就任後初めて円陣に入り「バカになって盛り上げていこう」と、顔を紅潮させ、腹の底から叫んだ。元気印の松田も「3年間で初めて見た」という指揮官の「バカ」になった姿。「ここぞに、とっておいたんだよ」。策と心で日本一を取り返した指揮官は、いたずらっぽく笑った。 (倉成孝史)

=2017/11/05付 西日本スポーツ=

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