ソフトB育成の超有望株も「来年いないかもしれない」と漏らす厳しい現実

工藤監督が見守る中、ブルペンで投げ込む長谷川宙
工藤監督が見守る中、ブルペンで投げ込む長谷川宙
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 「チャンスですね」と言ってから、こう続けた。「僕も育成選手なので。ケガしたら来年、いないかもしれない。少しでも早くアピールできるように、来年も契約してもらえるように。下にも上にもいい選手がいますから。期待も感じますけど、応えられなければ…という思いも半分、あります」

 高卒2年目のキャンプをB組(2軍)で過ごしているソフトバンクの育成サウスポー長谷川宙輝(ひろき)投手(19)は、キャンプA組(1軍)のフリー打撃登板を翌日に控えた7日、そう話した。

 東京・聖徳学園高時代に甲子園に縁はなく、最後の夏も西東京大会3回戦で終えた。1年目の昨季は3軍で19試合、2軍で3試合の登板。もっとも最速149キロの球は首脳陣の目を引き、秋季キャンプではドラフト1位入団だった田中らと同じく、工藤監督から直接のトレーニング指導を受けた。

 そんな有望株から聞かれたのが、冒頭の言葉だ。育成選手は3年が経過すると自由契約となる(その後の再契約も可能)。指名後3年未満で見切りをつけられる例はごくまれな上、長谷川宙にとって区切りの3年目は来年にあたるが、すでに危機感に満ちている。

 1軍の試合に出場できる支配下登録選手を、ソフトバンクは現在66人抱えている。上限は70人で、登録できるのはあと4人。各年の登録期限は7月31日までで、急な故障者などの穴埋めが必要になった場合に備えて、枠はわずかでも空けておくのが通例だ。

 特定のポジションに故障者が偏った時の応急措置はともかく、育成選手が支配下登録が勝ち取るには1軍戦力とみなされるのが基本線。この宮崎春季キャンプ開始にあたり、工藤監督は野手レギュラー9人中6人、先発ローテ6人中5人が決まっていると公言している。激しいレギュラー争いは選手層の厚さゆえで、シーズン中の1軍(出場選手登録)の28人枠もほぼ埋まっているようなもの。支配下登録のハードルは高い。育成選手は総勢25人、投手だけで13人いる。オフには育成だけで5人が戦力外通告を受けた。

 このキャンプは7日から投手陣のフリー打撃登板が始まった。8日はB組から長谷川宙のほか笠谷、小沢もA組フリー打撃に登板予定。もっとも笠谷、小沢は支配下登録選手で、長谷川宙は彼らと同じ土俵に立つ前に一つ、ステップを踏まなくてはならない。

 7日の長谷川宙はブルペンでA組投手と一緒になり、場慣れさせようとした投手コーチの指示で和田とバンデンハークの間で投げた。「緊張して自分のリズムで投げられなかった」と苦笑する。見守った工藤監督からも「周りを気にしすぎ」と声をかけられた。

 一方で「1軍のピッチャーは、僕みたいに『いい球を投げよう』としていなかった。一球一球、丁寧になげていますね」と感じ取った。こうした学ぶ姿勢もあれば、自負もある。「自分の特長はストレートの質。右バッターのインコースに投げられる自信もある。(1軍のバッターに)通用するかは分からないですけど、真っすぐで押していけるか試したい」。この日のブルペンで58球を投げた後、そう言った。

 監督・コーチ陣、それに球団が、一度のフリー打撃登板で何かを判断しようとはしていないだろう。ただ本人たちにとっては「明日」につなげるための戦いが続いているのだ。千賀、石川、甲斐といった育成出身選手が多く活躍するソフトバンク。危機感にあふれた生存競争が、その土壌に他ならない。

=2018/02/08 西日本スポーツ=

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