最もリーグVから遠ざかっている球団オリたち鷹流で逆襲 打倒ソフトB 古巣復帰の元タカ藤井打撃コーチ 下半身使って「数振らせる」

伊藤に打撃指導をするオリックスの藤井コーチ(左)
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 12球団で最もリーグ優勝から遠ざかっているオリックスが“鷹流の猛練習”でソフトバンク超えを目指している。かつて「ミスター・ブルーウェーブ」と呼ばれた藤井康雄打撃コーチ(55)が8年ぶりに古巣に復帰。最後のリーグ優勝は藤井コーチの現役時代の1996年で、21世紀に入り一度も日本シリーズに進出していない唯一の球団でもある。その“屈辱の歴史”にピリオドを打つべく、ソフトバンクで重量打線を築き上げたノウハウを知る藤井コーチの指導の下、宮崎キャンプでは練習の中で随所に“鷹のメソッド”が組み込まれているのだ。過去10年でリーグ優勝5度、日本一4度の王者に挑む意気込みは-。 (喜瀬雅則)

 どうしても勝てない〈最大の敵〉を倒すために、オリックスは、その敵から名伯楽を“逆輸入”した。今季、8年ぶりに古巣へ復帰した藤井打撃コーチは昨季まで7年間、ソフトバンクで1、2軍の打撃コーチを歴任、重量打線の基礎を固め、築き上げてきた。

 「小手先じゃなく、下半身を使って振る。自分の体重がしっかりとボールに乗るように、小さい体でも下半身を使って打つ。今宮なんて、そうでしょ?」

 身長172センチ。プロとしては小さな今宮が昨季は14本塁打を放った。その力強さは頑丈な土台から生まれる。その土台を、いかにしてつくり上げるのか。目的から手段をたどれば、やるべきことは見えてくる。福良淳一監督から藤井コーチへの要望は「数を振らせてほしい」だった。

 全体練習の最後を締めくくるロングティーは、トスされた球をフルスイングで外野へ打ち返す。柳田や松田が何十本も連続でスタンドインさせるのは、ソフトバンクでは見慣れたシーンだ。しかし、現状のオリックスでは、T-岡田が右脇腹痛、吉田正は腰痛で2軍調整中の影響もあるが、スタンドに届く打球は格段に少ない。その力の差はデータにも表れている。

 4年連続で対ソフトバンクに負け越し中。2008年を最後にソフトバンクより上の順位にも立っておらず、昨季の対戦打率2割2分4厘、77得点、217三振は、パの他4球団との対戦成績と比べてすべてワーストだ。福良監督は「野手の“底上げの底上げ”」が喫緊の課題だと力説する。

 ロングティー以外の練習にも“鷹流”が見られる。トス打撃では、藤井コーチ自ら選手に1分近く連続で球を上げて、打たせる。室内練習場の5カ所にマシンと打撃投手を配置、同時進行で、休む間もなく振らせる。こうしたハードな練習による〈変化の兆し〉をT-岡田は今、敏感に感じ取っているという。

 「小手先ではなく、下半身と上半身がしっかり合ってスイングをする、そういう感覚が出てきている選手もいる。それだけで、以前とは全然違いますよ」

 T-岡田は09年の2軍時代、藤井コーチと二人三脚で長打力に磨きをかけ、翌10年に自己最多の33発で本塁打王。そのまな弟子にとっても、藤井コーチの指摘は自分たちの“甘さ”を認めることでもある。

 「だから、相手うんぬんじゃなく、最後は“自分たち”なんです。僕も、ホントに勝ちたいんです」

 敵に学び、その流儀を自分たちのメソッドに変えていく。T-岡田の決意と、そのたゆまぬ努力は「最も優勝から遠ざかった球団」という屈辱の看板を下ろすための“必須条件”なのだ。

■打ち勝つために泥くさく練習

 オリックスの昨季ソフトバンク戦の得点77は、対西武102、対日本ハム99、対楽天98、対ロッテ92と比べても格段に落ちる。「ここぞというところで打てていない。リードしても、またやられると、勝手に選手が思うのかもしれないですね」と福良監督は指摘する。あらゆる不安を振り払い、自信を持って打席に入るには、真の“力”をつけるしかないのだ。

 だから、選手たちにバットをひたすら振らせる。その猛練習指令は、前近代的な響きに聞こえるかもしれない。しかし、勝てない相手に立ち向かうため、泥くさく、愚直にバットを振れという指揮官の方針は、配球や技術うんぬんを語るより、むしろ正攻法だろう。

 ただ、福良監督にこの話を聞いていたのは、ロングティーが終わった後のグラウンドだった。その時、目の前の光景は“無人”。

 「これを選手が自主的にやるようになってくれたらいいんだけどね。そうなれば、試合でも“力”が出るんですよ。ホークスも、そういう人間が出てきているじゃないですか。小久保がいて、松田、柳田、今なら今宮か。そうやって、チームは代々、できていくんですよ」。背中で引っ張るリーダーがいて、勝つための練習、その姿勢を後輩たちに伝えていく。福良監督がホークスを見習おうとしているのは、単に練習だけではない。その〈心〉だ。

■打てないなら…「最初から振る」

 捕手の伊藤が打倒ソフトバンクで強調するのは積極性だ。ヤフオクドームで戦った昨年5月9日、3回に千賀から同点の2号ソロを放つも、得点はその1点だけ。エース金子は8回を投げ、内川と松田のソロ2発で2失点に抑えたが1-2で惜敗した。「大量点を取る展開にはならない。『じゃあ、もう打てない』ならしょうがない。ソフトバンクは、それくらい“割り切れる投手”ばかり。なら、最初から振っていかないと。積極的と淡泊さは紙一重ですよ」

 今季の開幕戦は敵地でのソフトバンク戦で、千賀との対戦になる。「こっちから仕掛けていかないと。千賀だったら、最後に“あのフォーク”があるんやからね」と福良監督。お化けフォークがくる前にどんどん打って出ることで、難敵を攻略するつもりだ。

■「ホークスキラー」のマレーロ活躍が鍵

 オリックスは、2015年に来日したバンデンハークに初対戦から9連敗を喫した。昨年9月13日に初めて黒星をつけたが、その試合でバンデンハークから3打席連続本塁打を放ったのが昨季途中入団のマレーロだった。ソフトバンク戦で打率2割8分6厘、6本塁打をマークしている。

 「球場も博多の街も素晴らしいし、対戦が楽しみなチームなんだ」と笑わせながら「バンデンハークに限らず相手の失投をいかにして、しっかりと捉えるかだね」という。

 昨年は82試合で20本塁打を放った助っ人はDHでの起用が確実で、ロメロ、T-岡田、吉田正と組む中軸打線は、ソフトバンクにもひけを取らない。チームはこのカード4年連続負け越し中だが「今年は僕らが優勝するよ」。ホークスキラーの助っ人は、今季も頼りになりそうだ。

=2018/02/24付 西日本スポーツ=

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