ソフトB加治屋5年目のプロ初勝利 胸にコーチの痛烈ゲキ「ユニホーム脱げ」

森(38)からウイニングボールを受け取るプロ初勝利を挙げた加治屋
森(38)からウイニングボールを受け取るプロ初勝利を挙げた加治屋
写真を見る
力投する加治屋
力投する加治屋
写真を見る
4回無死、阪神・糸井の一ゴロにベースカバーへと走る岡本
4回無死、阪神・糸井の一ゴロにベースカバーへと走る岡本
写真を見る
9回に登板、最後を締めた森
9回に登板、最後を締めた森
写真を見る

 ◆阪神0-1ソフトバンク(29日・甲子園)

 5年目ドラ1のプロ初星で快幕-。交流戦開幕となる阪神戦で、8回の1イニングを無失点に封じた加治屋蓮投手(26)がプロ初勝利をつかんだ。先発して4回無失点と好投したのが、同期ドラフト3位の岡本。9回をドラフト2位の森が締めた。両チーム無得点で迎えた9回、柳田が均衡を破る先制適時打を放つと、これが決勝打に。チームの窮地を救った同期3人のそろい踏み奮投と「交流戦男」のV打。敵地甲子園で1-0の接戦をものにした。4連覇に挑む交流戦の開幕戦3年連続勝利だ。

 加治屋がほえた。互いに無得点で迎えた8回。2死一塁からロサリオ、梅野に連打を浴び、満塁のピンチを招いた。ここで打席に代打の伊藤隼。終盤に訪れた絶好機ににわかに盛り上がる虎党。地鳴りのような声援が響く中でも、加治屋は動じなかった。「ファームでも対戦していたし、特徴は分かっていた。絶対に打たれないんだと、自分を信じて投げようと思った」

 140キロを超えるフォーク2球でファウルを打たせ追い込むと、1球直球を挟み、さらにフォークを2球続けた。5球目。伊藤隼のバットが空を切ると、加治屋は右腕を振った勢いに任せて、1回転しながらガッツポーズを見せた。ピンチの後にチャンスあり。9回に柳田が決勝打を放ち、今季22試合目で2014年入団のドラフト1位右腕が、プロ初勝利を手に入れた。

 「インコースに投げられないならユニホームを脱げ」。3月中旬、開幕1軍の当落線上にいた加治屋は、倉野投手統括コーチから強烈なひと言を浴びせられた。内角のサインが出ると気後れすることは、自分でも気付いていた。特に1軍の舞台では顕著だった。

 「印象を絶対に変えたかった」。直後の3月18日のオープン戦のヤクルト戦、3点差の7回無死満塁で迎えたのが球界を代表するスラッガー山田。その初球に思いっきり内角を突いた。「当てたら1点。一番投げにくいところで(内角へ)投げて、怖さがなくなった」。結果的に適時打を打たれて負け投手にはなったが、今では「原点」と表現するターニングポイントになった。

 この日も、先頭打者は糸井の2球目で内角を突いた。遠征先で同い年の今宮に、内角への配球に対する打者心理を聞き、同期のドラフト2位の森には、1軍での投球のいろはを教わった。この試合は同期ドラフト3位の岡本がプロ初先発で4回まで無失点。「おまえのおかげで勝てた」と感謝の思いを伝えた。

 メッセンジャーとの“投手戦”を、スクランブル発進となった投手陣が束になって、交流戦の白星発進を演出。工藤監督も「今シーズンの中で一番、みんなが絶対に勝つぞという気持ちが出たいい試合だった」と絶賛した。楽天以外のパ球団が白星発進。負ければ4位転落で借金生活という状況をはね返して再び貯金は「1」だ。交流戦4連覇に挑む戦いが、5年目ドラ1右腕のプロ初星という歓喜から始まった。 (鎌田真一郎)

   ◇    ◇

天国の母にウイニングボール

 宮崎・福島高2年の夏だった。試合が雨で中止になって帰宅。その日、母伊津子さんが38歳の若さで急逝した。実家には祭壇があり、プロ入り以来、初登板時の記念球やユニホームを供えている。輝くのはルーキーイヤー2014年の日本一チャンピオンリング。「僕は何もしていないリング。初勝利のボールを、早く置きたい」。そう思い続けてきた。

 これまでも、母の力を感じたことがあった。16年、母の命日である8月22日、休みのタイミングが都合よく重なり帰省していたときだ。電話が鳴ると、倉野投手統括コーチから自身初の1軍昇格を伝えられた。「すぐに母に報告できてよかった」と振り返る。

 ただ、初勝利までは長い時間を費やした。オフの度、父博樹さんと酒を酌み交わすと「今年こそ、覚悟した方がいい」と危機感をあおられた。ドラフト1位指名に投手が続いたこともある。その父にも母にもいい報告ができる。プロ5年目でつかんだウイニングボール。行き先は決まっている。(ホークス担当・鎌田真一郎)

=2018/05/30付 西日本スポーツ=

今日の西スポ紙面はこちら 西スポプラス

西日本新聞のイチオシ [PR]

ホークス下剋上日本一!西スポ2018アーカイブス

西日本新聞のイチオシ [PR]