ソフトB、戦国パ抜け出す鍵は?起爆剤になる2人の育成ルーキー/池田親興氏の目

西日本スポーツ評論家の池田親興氏
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武田
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周東
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柳田
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内川
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デスパイネ
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 プロ野球は16日から後半戦が始まる。貯金2で折り返した福岡ソフトバンクは首位西武と今季最大タイの6・5ゲーム差。オリックスが同率3位、0差の5位にロッテがつけパ・リーグは近年にない戦国模様となっている。大混戦にのみ込まれた昨年王者の逆転Vへの鍵は何か。本紙評論家の池田親興氏はリーグで唯一防御率が4点台に沈む先発投手、ベテラン野手の復調を期待するとともに、起爆剤として2人の育成ルーキーの名前を挙げた。

■千賀、武田「勝利の形」つくれ

 「勝利の方程式」が正解を出せない苦しさを前半戦で十分に味わった。救援陣の登板過多は明らか。森やモイネロを中心に疲労が蓄積している。それでも五十嵐が戻り、スアレスの復帰も秒読み段階と救援陣には明るい材料がある。

 その救援陣を生かし、支えるのは先発陣だ。少なくとも6、7回まで投げることが求められる。これまでのように100球前後ではなく、120球ぐらいは投げて試合をつくっていくこと。そこが勝敗の中で大きなウエートを占める。

 開幕前の状況を思い出してほしい。先発6番手の座を争っていたのが、石川と中田。その石川がチーム最多の7勝を挙げたことが3位で折り返す原動力となった。もっとも、石川もここ5試合は未勝利。先発の柱が不在の状況になってチームが苦しみだした。

 石川の復調もだが、この先のチーム浮沈の鍵を握るのは千賀、武田だろう。後半戦は2人がカードの頭で勝っていくことが必要。それが「勝利の形」をつくることにもなる。離脱を繰り返した千賀の状態は気掛かりだが頑張ってもらうしかない。まずはローテを守ること。そうすることでチームは落ち着いて戦える。

 武田は先発に復帰した前半戦最後の試合、日本ハム戦で負け投手にはなったがいい状態が戻ってきた。もっと長いイニングを投げられるし、任せていい。自分がエースだ、もっと投げるんだという意地を見せてもらいたい。

 7月に新たに獲得した外国人左腕、ミランダにも期待がかかる。実際に見ていないのではっきりとしたことは言えないが、いい投手だから獲得したはず。彼がどんな存在になっていくかも楽しみだし、チームに与える影響は大きい。どういう形での起用になるか注目したい。

■大竹、周東を支配下に チームを刺激する「カンフル剤」

 実績のある先発陣に期待する一方で、沈んだチームの空気を変える「カンフル剤」も欲しい。個人的には育成の新人左腕、大竹に大きな期待を寄せている。

 大学時代の故障もあり育成での指名となったが、もともと実力があり評価は高い。高校、大学で全国の舞台を経験し、何よりクレバーだ。球速以上に球の切れを感じるし、勝てる投手になる要素をいくつも備えている。投げる姿、投球を見ていると、和田、現在は巨人の杉内がルーキーで入ってきたころを思い出す。ウエスタン・リーグトップの7勝は必然の結果。今月中に支配下登録して戦力に加えてほしい。

 野手では同じく育成新人の周東を推す。走攻守でレベルの高いスピードスターも起爆剤としての可能性を秘める。何より、その俊足に驚かされた。相手の守りがちょっと緩慢な対応をしていると内野ゴロが安打になりそうなほどだ。実際に2軍戦で普通の遊ゴロが安打になったこともある。打撃も力強く、スター性もある。フレッシュ球宴で2安打を放つなどして優秀選手賞を獲得したのもその証しだ。2軍では俊足を生かして外野を守っているが、もともと内野手。「ポスト松田」としてサードでの起用も考えられる。彼もいち早く支配下にして1軍で活躍する姿を見たいし、伸び悩む他の若手野手に刺激を与えてもらいたい。

 前半戦では故障離脱した内川、不振の松田を脅かす若い選手が出てこず寂しい思いをした。近い将来、新陳代謝は必ずチームに必要になる。2、3年先まで見越した手を打てるか。工藤監督には、そうした部分の手腕も期待している。

■前半戦最後の惨敗忘れるな

 若い選手のエネルギーに加え、優勝するためには実績あるベテランの力が欠かせない。打線では、柳田の存在が絶対的。彼は後半戦もしっかり結果を残すはずだ。同時に、中軸を支える内川、デスパイネ、その後を打つ松田の復調が推進力となるだろう。

 前半戦は3人の打率が想像以上に低かった。後半戦で上がってくれば柳田との相乗効果を生む。当たり前だが、柳田に加えて中軸の誰かが打てば得点につながるし、勝利に直結する。

 デスパイネは打ち損じが目立つ。チームが勝てない焦りもあるのだろう。昨季のような形で右方向への打球を増やせば結果がついてくるのではないか。内川は体調さえ戻れば本来の姿を取り戻せるはず。あとは松田だ。彼が打てば何よりチームが盛り上がる。3人の活躍がチームが波に乗っていくためにも不可欠だ。

   ◇    ◇

 強力打線を武器に首位を走っている西武にも隙はある。いまだに勝ちパターンの救援陣がしっかり定まっていない。2位の日本ハムは全体的なバランスで白星を重ねているが、打線にそこまでの脅威はない。バランスの良さでいえばオリックスだが、ここにきて故障者が相次いでいる。ロッテは井上が打ち始めたことで得点力がアップしたが、ここも救援陣の力不足は否めない。

 どこも決め手を欠く現状で、ソフトバンクは故障者さえ戻ればバランスの良いチームとなり抜け出すことができるだろう。ただし今年は、優勝もあれば5位の可能性もある混戦。ベンチワークも含めてチーム一丸になること。自分たちの力を信じて進むしかない。

 後半戦は西武3連戦、1日空けて日本ハム3連戦と続き、再び8月第2週までに両チームとの3連戦が1度ずつある。この約1カ月の結果がペナントレースを左右しかねない。前半戦最後の2試合、東京ドームの「鷹の祭典」では日本ハムにこれ以上ない形で屈辱的な連敗を喫した。悔しさをいかに巻き返しへとつなげるか。「あの2試合の大敗があったから、優勝に向けてチームが結束した」。最後にそう言える反攻を期待している。 (西日本スポーツ評論家)

=2018/07/16付 西日本スポーツ=

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