9回2死から奇跡の同点3ラン ソフトB上林、柳田欠場&借金危機救った

9回2死二、三塁、右中間に同点3ランを放つ上林
9回2死二、三塁、右中間に同点3ランを放つ上林
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スポットライトを浴びながらファンの声援に応える上林(左)と松田
スポットライトを浴びながらファンの声援に応える上林(左)と松田
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 ◆ソフトバンク6-5ロッテ(26日・ヤフオクドーム)

 工藤ホークスが「借金生活」に足を踏み入れる寸前から驚異の二枚腰でサヨナラ勝ちした。チーム3冠王の柳田悠岐外野手(29)を軽度の頸椎(けいつい)捻挫で欠く“手負い”の打線が奮起。9回に上林誠知外野手(22)の起死回生の同点3ランで試合を振り出しに戻し、延長10回に松田宣浩内野手(35)が中越えの“激打”で試合を決めた。勝率でロッテをわずかに上回り、3位に浮上した。

■終盤驚異の粘り

 限りなく危険水域に足を踏み入れかけていた。あと1球で5連敗、ついに借金生活…。そんな雑念を上林が一振りでひっくり返した。9回に1点を返し、なお2死二、三塁から奇跡を起こした。起死回生の同点15号3ラン。白球は右中間テラス席へ舞い降りた。

 「感触はあまりなかった。(本塁打まで)いかないけど間は抜けると思った。追い込まれて必死に食らいつこうと思って、ホームランになって最高でした」

 9回に1点を追加され、敗色は濃厚だった。今季初めて柳田を欠いた打線は迫力を欠き、何とか守護神の内を攻め立て、上林に打席が回ってきた。追い込まれてからの低めの縦スライダー。見送ればボール球を、巧みなバットコントロールですくい上げた。

 ベンチで祝福を受けた上林の脳裏にあるシーンが浮かんだ。「あのときと同じ同点3ランだったので」。昨年11月の国際大会「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」の韓国との開幕戦。タイブレークの延長10回に同点3ランを放ち、サヨナラ勝ちにつなげた。思えばその前日、練習を終えると、会場の東京ドーム近くのマクドナルドに足を運んだ。年齢制限付きとはいえ、侍ジャパンの一員。それでも店内では誰にも気づかれることはなかった。自身の知名度を改めて思い知らされた。今春には年齢制限のない侍ジャパンに選出された。「東京五輪は出たいけど、外野争いは厳しい。もっと頑張らないと」。早くも昨季の13本を超える15号。2年後、真夏の東京を沸かす有力候補だ。

 上林の一発が松田の劇打にもつながった。24日は大阪で5時間45分の激闘ドロー。借金生活の危機で粘りに粘って、1分けを挟んでの連敗を「4」で止めた。「あそこで打った上林君は、本当にすばらしい、すごい、さすが…。いろんな言葉が見当たるけど、どれも合わせて使ってあげてください」と工藤監督も興奮を隠せない。あの川崎宗則氏から「モンスター」とも呼ばれた22歳が崖っぷちのホークスを救った。「連敗が続いていたので勝てて良かった。(柳田不在は)非常に痛いけど、全員でカバーできれば」。若きヒーローは誓った。3位浮上。劇的勝利で“風向き”が確かに変わった。 (小畑大悟)

二つの登場曲、上林を後押し

 上林の背中を地元福岡の2組のアーティストが押している。今季から「Natural Radio Station」(NRS)と「イーシス」から登場曲の提供を受け、打席ごとに交互に流している。「最高の2曲がそろった。テンションを上げて、気持ち良く打席に入れる」と本人も大のお気に入りのようすだ。

 “タッグ結成”のきっかけは2組とも上林のファンだったことに始まる。オフに食事をした際、応援の意味を込めて楽曲提供を提案されると、上林も快諾した。アップテンポなNRSの「Number51」と、座右の銘を入れたイーシスの「HERO」の2曲が完成。「この2曲が後押ししてくれるので、自信を持ってプレーしたい」。地元アーティストの歌声が、どんなときでも上林をハイテンションで打席に向かわせている。

=2018/07/27付 西日本スポーツ=

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